研究課題/領域番号 |
19K00008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
飯嶋 裕治 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (80361591)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 和辻哲郎 / 知覚と行為 / 規範性 / 概念主義 / ジョン・マクダウェル / ヒューバート・ドレイファス / マルティン・ハイデガー / G・E・M・アンスコム / 規範と知覚 / 概念主義と非概念主義 / ドナルド・デイヴィドソン / イマヌエル・カント / 規範の知覚 / 概念主義論争 / 規範の理解 / 規則のパラドクス / 規範全体性の了解 / チャールズ・テイラー / 行為 / 行為の反因果説 / 行為の全体論的構造 / 実践的推論 / 徳 / G・E・M・アンスコム / 行為の意味 / 行為論 |
研究開始時の研究の概要 |
和辻哲郎の倫理学理論を哲学的行為論として発展的に読み解くため、本研究では次の三つの論点に取り組む。第一に、日本的・東洋的と形容されがちな彼の倫理学を普遍的理論として捉え直し、その中核に「行為の意味」を重視する行為論的議論があった点を確かめる。第二に、彼の行為論を現代の議論状況の内に位置づけた上で、その独自性が「間柄」的人間観からの理論的帰結としてもたらされている点を示す。第三に、行為論のさらなる理論的展開への新たな観点として、マクダウェルや和辻による「徳」に関する議論を検討し直す。この一連の作業から、和辻の議論の独自性や理論的可能性を示し、ひいては行為論自体の今後の発展の方向性も指し示す。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、和辻哲郎の倫理学理論を現代の行為・知覚の哲学の文脈に位置づけて比較・検討することで、その豊かな理論的可能性を検討した。特にその文脈として注目したのは、人間の概念能力の位置づけるをめぐるドレイファスとマクダウェルとの間での論争である。両者はともに知覚と行為を一体的な構造において論じるが、そこに概念能力がどう関与するのかで対立する。それに対し、規範性・概念的分節性を根拠づける「信頼」や「形なき形」に関する和辻の議論を参照することで、新たな回答の方向性を示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究課題の主な学術的意義としては、従来「日本的・東洋的」な特殊なものと見なされがちであった和辻哲郎の倫理学のうちに、現代の論争にも有益な示唆を与え得るような普遍的な理論的可能性があることを提示できたという点にある。なかでも特に、別々に議論される傾向にあった「知覚」と「行為」の問題を、規範・意味を基軸として連続的・一体的なものとして捉えていくという本研究の基本的な観点は、現代の認知科学や人工知能研究などとも親和性が認められるものであり、今後、研究上の対話・交流を展開していく上で非常に重要な基盤になると考えられる。
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