倫理学は伝統的に善悪や正不正、徳などといった概念を扱ってきたが、20世紀後半に入ると、善悪それ自体の意味について考える基礎分野と、社会の中での現実の倫理問題を考える応用分野とが、それぞれ独立して論じられ、両者の間で乖離が目立つようになってきた。しかし、本来は両者は車の両輪として互いに密接に関係するものであり、そうでなければ実際の私たちの生活の中での倫理の問題を解決する役には立たない。本研究では、二つの分野を再び結びつける理論を探り、そこから遺伝子操作や人工知能開発などがもたらす現実の社会問題に向き合う方法を研究する。
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