研究課題/領域番号 |
19K00018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
金杉 武司 國學院大學, 文学部, 教授 (00407660)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | クオリア / 素朴実在論 / 直接知覚説 / 反自然主義 / 多元的実在論 / 視点 / 最良の説明への推論 / 選言説 / 哲学的理論の評価方法 / 錯覚・幻覚 / 面識 / 現象学 / 知識論証 |
研究開始時の研究の概要 |
以下の①~③を論証する。 ①知覚や感覚における質的な現れとしての「クオリア」を自然科学的秩序の中に位置づけることは不可能だとする反自然主義の立場にとって最適な存在論的理論は、クオリアを、視点に依存した存在でありながら、世界の側の事物が持つ客観的な性質であるとして位置づける素朴実在論であるということ。 ②そのようなクオリアの存在論的理論と最も適合する知覚の哲学理論は、①のように位置づけられるクオリアが知覚や感覚において直に与えられているとする直接知覚説であるということ。 ③②のような直接知覚説は、知覚理論として、センスデータ説・副詞説・志向説といった他の知覚理論に比べても十分に妥当性を持つということ。
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研究成果の概要 |
本研究は、以下の点を明らかにした。 (1)クオリアの反自然主義の立場にとって最適な存在論的理論は、クオリアを、有視点的存在でありながら、世界の側の事物が持つ客観的な性質として位置づける素朴実在論であり、知識論証はまさにそれを示すがゆえに最適な反自然主義的議論である。(2)(1)の存在論的理論と最も適合する知覚の哲学理論は、(1)のようなクオリアが知覚や感覚において直に与えられているとする多面説的直接知覚説である。(3)(2)の多面説的直接知覚説は、選言説と結びつくことにより、センスデータ説・副詞説・志向説といった他の知覚理論よりも優れた説明力を持つことができ、それゆえ最良の知覚理論である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
(1)本研究の成果は、クオリアの哲学や知覚の哲学において新しい知見をもたらすのみならず、自然主義的世界観と反自然主義的世界観の対立というより大きな文脈において、反自然主義の最も強力な体系的存在論的理論を構築するための土台をつくると考えられる。 (2)自然主義的な一元化の傾向が益々強まってきている現代において、反自然主義の考えを最も強力なものにすることで自然主義の妥当性を改めて問うことは、方法論的自然主義と存在論的自然主義の関係を改めて問うことに繋がり、延いては、哲学とはどのような知的営みであるのか、そもそも人間の知的営みとは一体何なのかという究極的な哲学的問いに繋がるとも考えられる。
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