研究課題/領域番号 |
19K00020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古田 徹也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00710394)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 運 / 偶然 / 自由 / 人生の意味 / 幸福 / 偶然性 / 応報の破れ / くじ引き / 道徳的運 / 意志 / 責任 / 倫理学 / 思想史 / モラル・ラック |
研究開始時の研究の概要 |
「人間は運をどう捉え、運とともにどう生きるべきか」という問題を排除してきた従来の倫理学への批判に基づき、英米圏の現代倫理学では、道徳と運のかかわりを探究する議論領域、すなわち「道徳的運(Moral Luck)」論が確立されている。本研究は、その議論の方向性を修正するために、「運」や「偶然性」の問題、および関連する「必然性」や「自由」等の問題に取り組んできた倫理学史上の諸議論をあらためて仔細に検討する。そして、そこで取り出される論点を基にして、我々が日々下す道徳的評価や、我々が善き生と呼ぶものが、運の影響を避けがたく受けているという現実について、その内実と積極的な意義とを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、偶然という要素が不断に織り込まれた世界という観点から、自由や意志という概念、および人生の意味や幸福といった価値をどのように見出すことができるかについて、古代から現代に至る西洋倫理学の議論を跡づけ、再考する研究を遂行した。とりわけ、あらゆる価値を偶然の所産として受けとめつつ、特定の価値にコミットして生きる、というアイロニカルな人間のあり方について、また、世界に生じる事態の一切を偶然として受けとめた場合に、世界のなかになお自由や価値を見出すことができるかについて、西洋の思想史を跡づけつつ解明を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
疫病、自然災害、あるいは思いもかけない僥倖、等々、我々の社会には「運」の要素が不断に織り込まれ、この要素に大きく左右されているように思われる。そうした不確実性のなかで、自由や意志という概念、および人生の意味や幸福といった諸価値がいかに見出され、確保されうるかを、思想史の展開を踏まえて検討し直す本研究の成果は、この要素をしばしば等閑視しがちな哲学・倫理学の傾向性を批判的に捉え直す学術的意義をもつと同時に、社会において過度に虚無主義に傾く風潮や過度に自己責任を強調する風潮などに抗する論理と視角を提示する意義をもっている。
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