研究課題/領域番号 |
19K00023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大谷 いづみ 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30454507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 安楽死 / 尊厳死 / 高齢社会 / 格差社会 / 『PLAN 75』 / ナチス安楽死政策 / T4計画 / トリアージ / PLAN 75 / 高齢者と安楽死 / 8がけ社会 / 脆弱性 / 交差性 / アクセシビリティ / 死生観 / PLAN75 / 姥捨て伝説 / キリスト教コミュニティ / 自殺 / 安楽死・尊厳死 / 死ぬ権利 / 死ぬ義務 / ALS患者嘱託殺人 / コロナ禍 / SNS / 死なせる義務 / COVID-19パンデミック / フレッチャー / 太田典礼 / ナチス・ドイツ / 優生学 / 障害 / マルクシズム / 状況倫理 / ホスピス / 優生思想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生命倫理学前史および成立史における安楽死論とキリスト教との相剋からその世俗化にいたる過程を、米英日の安楽死法制化運動と初期ホスピス運動の言説、特に米国で生命倫理学を先駆的に牽引した神学者にして社会活動家であったジョセフ・フレッチャーの軌跡とその安楽死思想と優生思想に焦点を当てて解析する歴史的社会的研究である。 本研究では、キリスト教的言辞が生命倫理問題に招来されて世俗化したことによる影響を正負あわせて掘り起こすことにより、「新しい優生学」との批判もある生命倫理学の語りの構造の限界を指摘し、老い病み衰えた人々とともに生きるための新たな語りの可能性を拓くことを企てる。
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研究成果の概要 |
COVID-19パンデミックによりJ.F.フレッチャーを主軸とする国内外の調査研究は不可能となったが、これを好機と捉え、本研究を今日の時代状況に再配置して検討した。これにより、生産性の多寡により「ある生」を社会の負担と同定しその存在の抹消により社会の問題解決を図ろうとするメカニズムは、次の現象にも通底することを明らかにした。 第一に、ナチスの安楽死政策が同時代の米国や戦後日本で大衆に知られながらも問題とされなかったこと、第二に、75歳以上の高齢者の安楽死を合法化した架空の日本社会を描いた映画『PLAN 75』(2022)が国内外で評価され、特に日本でリアリティをもって受け取られたことである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的意義は、ナチス政権下の安楽死政策の実態が、同時代の米国や第二次世界大戦後の日本で一般大衆に広く知られながらも問題化されてこなかった現象を明確にし、これをCOVID-19パンデミック及びロシア・ウクライナ戦争、ガザ・イスラエル戦争等の今日的状況に再配置したことにある。これにより、ナチスの安楽死政策と現在の安楽死・尊厳死論との関係を考究する本研究の社会的意義は一層リアリティをもつこととなった。 なお、カトリック教会等における聖職者の性加害や米国最高裁の中絶対応など、キリスト教をめぐる社会情勢の急変があり、本研究におけるキリスト教の論点については軽々な言及を控え、今後の課題とした。
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