研究課題/領域番号 |
19K00026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
今井 正浩 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (80281913)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 動物の生殖発生をめぐる論争史 / 西洋古代の人間観 / 古代ギリシア・ローマの医学者たち / ヒッポクラテス / プラトン / アリストテレス / 初期アレクサンドリアの医学者たち / ガレノス / 発生理論 / 初期アレクサンドリア医学 / アリストテレスの発生理論 / 素材形相論 / 精液(スペルマ) / 月経血(カタメーニア) / 古典期ギリシアの医学者たち / 汎生説(パンゲネシス) / 動物の生殖発生 / 『動物の発生について』 / 動物の生殖発生の原因 / 動物の生殖発生のメカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,人間を含めた動物の発生をめぐる論争史を丹念に辿ることによって,古代ギリシア・ローマの医学者たちがこの論争の中で果たしてきた役割に着目する。以上の考察を通して,医学が誕生したとされる紀元前5世紀からヘレニズム期をへて,ローマ期にいたる西洋古代の人間観の展開に医学者たちがどのような思想的貢献をなしたかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、人間を含む動物の生殖発生をめぐる論争史を通してみた西洋古代の人間観の特質を示すものとして、つぎの二点を明らかにした。 1)アリストテレスの発生理論は「精液は運動の始原を提供するものとして、雄のみに帰属する」という前提に立っている。これは「精液は両性の全身からやってくる」という考え方に立って説明を試みたヒッポクラテス医学派の医師たちの説に対する批判的応答と解することができる。2)ガレノスの発生理論は、プラトンの魂の三部分説に立った人体理解と「精液」を両性に帰属させたヒッポクラテス医学派の医師たちの説に依拠する一方で、アリストテレスの発生理論に対しては、根本的修正をせまるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、人間を含む動物の生殖発生をめぐる論争史を概観することによって、古代ギリシア・ローマの医学者たちが西洋古典古代の人間観の展開にどのような貢献をなしたかを明らかにしている。本研究を進めるにあたっては、西洋医学史研究や古代哲学研究といった専門領域の枠にとらわれず「西洋古代の思想文化史」という幅広いパースペクティブに立って、これまでの専門領域を横断するという手法をとっている。それによって、従来の単視眼的な手法では解明され得なかった西洋古代の人間観の複雑さや多面性を理解するための新たな視座を提供するとともに、新しい学術的地平を開拓しているという点において、その学術的価値や社会的意義は大きい。
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