研究課題/領域番号 |
19K00027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高山 守 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (20121460)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 手話言語 / 画像言語 / 画像思考 / 身体言語 / 直観と概念 / 画像性 / 視覚言語 / 画像了解 / 手話 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、哲学の領域に、音声言語とは表現形態がまったく異なる手話言語を導入する。この言語が、一個独立の言語であることは確証されているが、この点を確認しつつ、第一に、その「画像言語」という特徴に即して、ここに成立する特有の世界像を明確にする。また第二に、その「身体言語」という特徴に即して、この言語を使用する行為者のもつ、独自の主体的性格を露わにする。さらには、これらの論議を踏まえて、これまでとは根本的に異なる存在論、心身論、自由論、また心の哲学等を展開する。なお、哲学は、手話言語の受け入れという点で、圧倒的な後進領域である。本研究を通して、この点の改善ももくろむ。
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研究成果の概要 |
手話言語を母語とするろう者は、自らの思考を身体画像で展開し、他者に伝達する。この意味で、手話言語は画像言語と言いうる。しかし、それが画像言語であるのは、いっそう根源的な意味においてである。というのも、ろう者は、自らの思考を自らのうちで遂行する際に、その思考を、視覚的に与えられる画像情報に基づき、おおむね、この情報画像そのものによって展開するからである。ここにおいては、この画像による思考内容が、その視覚(画像)世界と完全に一体なのである。この一体性は、カントの提起する直観と概念の相即性をめぐる「権利問題」と密接に関連するが、本研究は、この観点から、現代的な哲学論の新たな展開を試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
手話言語は、現在、言語的な観点、ならびに社会的な観点から、注目を浴びていると言いうるが、そうしたなか、これまでは、この言語の画像性が特筆されることはきわめて少なく、むしろ、それはしばしば積極的に度外視されてきた。というのも、これまでにおいては、手話言語は音声言語と相並ぶ、れっきとした一言語であるということが強調され、また、強調されざるをえなかったからである。この強調点は、いまなお強調されてしかるべき状況だが、しかし、それは徐々に変わりつつある。こうしたなか、本研究は手話言語の画像性を前面に打ち出して、それを積極的に論じるものであり、その点で、学術的ならびに社会的意義は、小さくないものと考える。
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