研究課題/領域番号 |
19K00031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
藤本 温 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80332097)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 正義 / 法 / 自然法 / 自由学芸 / 中世哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
「正義justice」についてさまざまな理論や定義があるが、中世の大学では、神学部と法学部においてそれぞれ「法」や「正義」について討議されていたことから、本研究では、西洋中世における「法学者の正義論」と「神学者の正義論」という区別を立てて、この区分を軸にして両者の正義理解の比較検討という仕方で研究を進める。この二つの正義論を比較検討することを通して、「正義」理解の多様性のひとつの原因を見定めることを目指している。
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研究成果の概要 |
正義とは「各人に各人の正しさを配する持続的で永続的な意志である」というウルピアヌスによる規定について、法学者アゾと神学者アクィナスの解釈の異同を検討して、アクィナスによる哲学的分析の特徴を明らかにした。正義に密接に関連する自然法についても、「自然法は、自然がすべての動物に教えたものである」という法学者ウルピアヌスの規定について、アクィナスやアルベルトゥス・マグヌスといった神学者と、法学者たちによる解釈の特徴を見定めた。さらに、12世紀のサン・ヴィクトルのフーゴーと、13世紀のアクィナスによるリベラルアーツの考え方の分析を通じて、リベラルアーツと「正義」の関係について考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「正義」という言葉は、現代社会においては多義的に使用されることが多く、曖昧な概念となっている。法学者の考える「正義」と哲学者や倫理学者が用いる「正義」という概念の間にずれが生じていることもある。本研究は、「正義」理解の多様性の原因の一つを西洋12-13世紀における大学成立の時期に遡って考察し、神学部と法学部という両学部での「正義」とその関連語の扱い方と傾向を概念分析的に検討して、その歴史的な位置づけを試みた。リベラルアーツが大学において学ばれ始めたのは西洋中世からであり、今日でもその重要性が指摘されるリベラルアーツとの関わりでも「正義」の位置づけを明らかにした。
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