研究課題/領域番号 |
19K00033
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
吉満 昭宏 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (10585227)
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研究分担者 |
浜崎 盛康 琉球大学, 人文社会学部, 客員研究員 (30208574)
大城 信哉 琉球大学, 人文社会学部, 非常勤講師 (20836259)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 道理性 / クリティカル・シンキング / 決疑論 / S・トゥールミン / 合理性 / L・ライト / 看護過程 / 診断的論証 / 応用倫理学 / 批判的思考 |
研究開始時の研究の概要 |
英国の哲学者S・トゥールミンは、『近代とは何か』(1990年)や『理性への回帰』(2001年)において、近代的な「合理性(rationality)」の概念を補完するものとして、「道理性(reasonableness)」の概念を論じている。道理性とは、'50年代頃から提唱されてきた概念で、「不確実性を伴う実践的な場面における理に適った思考法の特性」を意味する。この概念はその後、批判的思考や実践哲学や応用哲学の分野で重要視されてきている。更に彼の分析では、道理性と合理性のバランスが模索され始めたのが、'60年代以降の現代の時代だとされる。道理性の概念の批判的な検討とその応用が、本研究の目的である。
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研究成果の概要 |
本研究においては、われわれ三人は「道理性(reasonableness)」という概念の基礎と応用について、各人の専門領域に応じて、検討した。その成果は、12本の雑誌論文と2件の学会発表となって結果した。また最終年度には、その総決算として、報告書『道理性概念の研究』(123頁)を発行することもできた。 本研究の結果、道理性概念に基づく「道理的クリティカル・シンキング」を確立する目途が付き、また医学・看護学へのその応用も有効であることが判明した。更には、道理性と密接な概念である「決疑論(casuistry)」についても、その歴史的な背景を探り、また新たな観点を提示することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
道理性とは、大まかには「不確実性を伴う実践的な場面における理に適った思考法の特性」を意味し、近代的な「合理性(rationality)」の概念と相補的な概念である。「現代」という時代の思想的特徴ともされるこの概念について、通時的・共時的観点から、より明確にできたこと、この概念に基づく学問的方法論を確立する目途が付いたこと、この方法を医学と看護学に応用してその有効性を示せたこと。これらの成果は、実践的な諸分野(例:教育・医療・ビジネス)における、この概念に基づく方法の有効性を期待できるものであり、この点において、その学術的・社会的意義はそれなりにあるものと思われる。
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