研究課題/領域番号 |
19K00038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
小川 文子 学習院大学, 文学部, 講師 (10726582)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 古代ギリシア哲学 / 芸術哲学 / 美学 / 詩学 / 哲学 / 芸術 / 西洋哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の芸術解釈は多様であり、また、芸術的価値というものも何であるのか把握しづらい。しかし、我々は芸術とそうでないものとを分かとうと試みることがある。そこには、我々人間が感じ取ることのできる、両者が有する差異があるからに他ならない。従来の研究でも、芸術について様々な解釈がなされてきたが、本研究では、古典文献に立ち返ることにより、古来から変わることなく我々の有している価値基準の核となるものを探る。例えば、アリストテレス『詩学』を通して、批評とは何であるかを問い、批評が捉えるべき価値を明らかにする。また、脱構築を経験した芸術概念意味を反省的に捉えた上で、更に新たな哲学的観点からそれを捉え直す。
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研究成果の概要 |
現代において、アートは多義的なものになり、何がアートで何がアートでないのか、それを決定する明確な基準がないように考えられる。しかし、他方で、アートかそうでないかを全く見分けることができないかと言われれば、そうではないようにも考えられる。こうした問題に対して、古代ギリシアの芸術概念を援用し、そこから古代において自明であった芸術制作の意味を探り、かえって現代のアートのあり方を考える試みを本研究で行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の研究では芸術の価値を多義的に捉え、芸術史に対しても重層性、多重性を見て取っていたが、そこに通底するような根源的な芸術性を見出すことが、まさに本研究の目的であり、ここに本研究の学術的な意義がある。芸術の価値やその分類はこれまでも問われてきたが、それらをなめすような、基底部に共通の芸術性を考察した研究である。古代ギリシアの芸術制作において模倣概念は重要であるが、これはただ単なる「写し」の意味ではない。芸術は模倣でありつつもそこにジャンル「固有の快」を組み込むことでそれ固有の芸術となる、というアリストテレスの芸術観が、現代の多義化したアートに対してシンプルな芸術性を示唆すると考えられる。
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