研究課題/領域番号 |
19K00043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
本郷 均 東京電機大学, 工学部, 教授 (00229246)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | メルロ=ポンティ / 芸術 / 音楽 / 言葉 / ミシェル・アンリ / 九鬼周造 / 存在論 / 言語 / 身体 / 情感性 / 芸術作品 / アンリ / 押韻 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、メルロ=ポンティの〈考えなかったこと(影)〉としての音楽をヒントにして、彼の哲学が言語的に成立する可能性の根拠を探ることをテーマとする。 焦点は「存在の運動性」をいかに捉えるかにあるが、ヒントとして音楽を媒介として考察する。しかし、メルロ=ポンティは音楽については明確には語っていないため、音楽美学および他の哲学者たちによる音楽の思想を参考にする。 一方で、言語の問題に関しては、詩の押韻の問題を媒介しつつ音楽と言語の問題に焦点を当てて比較する。最終的には、語り得ないものを語ろうとする哲学の言語の可能性を明らかにすることで、哲学自体の可能性をも開く方向へと結びつけることを試みる。
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研究成果の概要 |
本研究によって、メルロ=ポンティの芸術論における「音楽」の位置づけが、積極的な意味を持っていることを明らかに出来た。とりわけ、プルースト『失われた時をもとめて』に記されている「小楽節」に関わる記述の中で、音楽のイデア的性格に基づいて、音楽と音楽の演奏者との関係を描いており、その点からメルロ=ポンティはその記述をそのまま受け取るわけではないが、大きな刺戟を受けている。 また、音楽が「存在の渦を象る」ことのできる場面は、同時に言葉が言葉として意味を持つことになる場面でもあることを明らかにし、根本的には言葉が意味を持つとはどのようなことかを明らかに出来た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
言葉の機能は、一見すると、単なる情報伝達の道具と捉えられがちである。しかし、その点にのみ注目すると、小説や詩、さらに哲学などの、創造的な言語表現がなぜ可能であるのかがわからなくなってしまう。本研究は、言葉が意味を持つようになる場面が、音楽の場面と共通した所にあることを明らかにし、そのことによって、また音楽がどうして何か意味を表現しているように思われる次第も明らかにすることができた。 言葉は人を傷つけもし人を慰めたりもし、さらには新しい事柄を考えることも可能にする所以の一端を明らかにすることの意義は大きいと思われる。
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