研究課題/領域番号 |
19K00045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松元 雅和 日本大学, 法学部, 教授 (00528929)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 戦争倫理学 / ドローン / 必要性 / 倫理学 / 政治哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、非対称戦争においてドローン兵器を使用することの道徳的是非を、〈必要性〉に照らし合わせて分析・評価することである。近年、資源や能力に恵まれた交戦者と小規模交戦者が行う非対称戦争において、ドローン兵器の使用が一般化している。しかしながら、こうした技術革新により、交戦者の能力差が過度に広がることは、正戦の〈必要性〉条件を大きく変化させる。そこで本研究では、第一に、正戦論における〈必要性〉条件を動態的に分析し、それが交戦者の能力に応じてどのように変化するかを明らかにし、第二に、交戦能力の顕著な格差をもたらす今日の技術革新が、〈必要性〉の観点から道徳的にどう評価されるかを論証する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、非対称戦争においてドローン兵器を使用することの道徳的是非を、〈必要性〉に照らし合わせて分析・評価することである。その成果として、1)次悪の追求を本質とする〈必要性〉の考慮は、正戦論者とリアリストにとって共通の道徳的基盤となっていることを確認した。2)非対称戦争のもつ構造的側面を注視してもなお、〈必要性〉の観念から〈区別〉原理に根本的な変更を加える決定的な理由は見出せないことを明らかにした。3)捕獲や投降、その他の無力化により、攻撃者が不必要な殺傷を避けつつ当初目標を達成する余地も広がることで、交戦者間の徹底的な非対称性は戦闘行為そのものの〈必要性〉を変化させることを論証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の研究成果は、学内外に対して以下のような意義をもつと考える。1)学術的意義として、従来の戦争倫理学研究においてその蓄積はいまだ十分とは言えないなか、〈必要性〉の動態的分析という新たな着想に基づき、ドローン兵器の倫理的是非に関する新たな知見を加えた。2)社会的意義として、ドローン技術は民生利用を中心にますます発展している一方で、2022年に始まったウクライナ戦争においても戦局をときに左右するほど活用されている。本研究ではこうした状況下で、武力行使という選択肢が本質的に抱える非理想性・非人道性を直視しつつ、ドローン兵器の正当性を規範的に問いなおすための戦争倫理学的視座を提起した。
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