研究課題/領域番号 |
19K00050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
箱田 徹 天理大学, 人間学部, 准教授 (40570156)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 気候変動 / 人新世 / 生権力 / 採取主義 / 脱炭素 / 現代思想 / 社会哲学 / 環境 / 社会運動 / 思想史 / 気候正義 / 生政治 / 暴力 / 採取 / 哲学 / 温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
気候変動の抑制が喫緊の世界的課題となるなかで、エネルギー分野における脱炭素の社会運動はどのような理念と戦略のもとで行われているのか? 本研究では、ドイツの褐炭露天掘り鉱山拡張をめぐる社会問題の現状と広がりを考察するとともに、近代の人間活動が新たな地質年代と呼ぶべき深刻さを持つと警告し、気候変動の議論とも密接に関わる「人新世」概念を批判的に考察することで、現代社会の課題に対する社会哲学の応答を理論と実践の両面から探る。
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研究成果の概要 |
気候変動に関する思想研究が、人文学と社会科学の最新の潮流をつなぐ結節点として機能していることを文献研究と現地調査を通じて明らかにした。具体的な意義と重要性は、(1)採取主義批判を日本に本格紹介する役割を果たしたこと、(2)急進的な気候運動の実践が、非暴力直接行動や市民的不服従の歴史と現在を活性化させ、歴史学、社会学、哲学などにおける抵抗、実力闘争、暴力、権力といった主題群の再評価につながっていることを示したこと、(3)哲学思想分野において気候変動の研究が進んでいない日本において、統治論や生政治論といった社会哲学的な概念を援用しつつ、気候変動が当該分野の喫緊の課題であることを示したことである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本の哲学思想研究では気候変動への社会的・科学的危機感が十分に共有されていない。また世界的な気候運動の高まりと思想研究とのかかわりへの関心も低調である。こうしたなかで本研究の学術的意義は、現代の欧米圏における批判的な社会理論(現代思想)が気候運動と現代資本主義批判とをいかに交錯させているかを論文執筆や書籍翻訳を通して明らかにしたところにある。このような成果を示した本研究は、脱炭素社会の実現によって気候崩壊の影響を最小限に食い止めようとする日本の市民社会の真摯な動きに対して、最新の知見とともに考察を深める理論的な枠組みを提供するという社会的意義を果たした。
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