研究課題/領域番号 |
19K00055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 高野山大学 (2022) 京都大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
菊谷 竜太 高野山大学, 文学部, 准教授(移行) (50526671)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 『アームナーヤマンジャリー』 / アバヤーカラグプタ / インド仏教注釈文献 / プトゥン / チベット仏教注釈文献 / アームナーヤマンジャリー / サンプトードバヴァタントラ / インド密教 / 密教注釈文献 / サンプトーバヴァタントラ / ラトナーカラシャーンティ / カマラナータ / ムクターヴァリー / ラトナーヴァリー / 密教聖典 / サンプタタントラ / 注釈文献 |
研究開始時の研究の概要 |
主たる研究対象となるのがアバヤーカラグプタの百科全書的密教注釈文献『アームナーヤマンジャリー』である。第1篇に説かれた同書の骨子・「要義」にはアバヤーカラが網羅した全25項目からなるインド密教の主要教説が挙げられており、これらの項目にしたがって同書の全体が構成される。すなわち、第1篇の解析が『アームナーヤマンジャリー』全体の内容を把握することにつながると言えよう。本研究では第1章の校訂・訳注作業を期限期間内に完遂させ、得られた情報をできうる限り電子化を通じて視覚化するとともに仏教内外の文献と比較・対照させることによって、インド密教における注釈文献の基本的な性格を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
新型コロナによる渡航制限が緩和されるなか、ウクライナ情勢によって欧州への渡航が大幅に制限されるようになり、当初予定していたハンブルグでの直接対面による研究集会はオンラインによる実施への変更を余儀なくされた。また前2021年度までのパンデミックの影響による作業遅延のため、さらに1年間の期間延長を申請した。 予定していた作業については、本研究において主要となる『アームナーヤマンジャリー』第1章の校訂・訳注を進めているところであり、研究成果の一部は出版する準備ができている。英文研究も含めて近く刊行される予定である。 また本研究の過程においてプトゥン・リンチェントゥプによる『サンプタ広注』の内容が『アームナーヤマンジャリー』を主体としつつも一方で『秘密集会』聖者流の注釈基準にのっとっていることも明らかとなった。これは『アームナーヤマンジャリー』自体の「広注(ティーカー)」としての性質とも密接に関わってくる。すなわち、プトゥンが『インド仏教史』において示された注釈ジャンルがハリバドラの『光明』にもとづいていることは従来から指摘されていたが、そうした注釈ジャンルとしての枠組みや「六辺・四法」などの注釈基準が「タントラ概論」などのチベットにおける著作群に影響を与えたと考えられる。 こうしたインド注釈文献がチベットにおける注釈カテゴリーや注釈基準にどのように影響しているのかについても考察を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外において新型コロナによる渡航制限が緩和されつつあるなか、ウクライナ情勢により欧州への渡航が大幅に制限されるようになり、当初予定していたハンブルグでの直接対面による研究集会はオンラインによる対応への変更を余儀なくされた。一方、国内での移動は容易になり、他の専門家との直接的な意見交換を通して、仏教梵語の解釈をめぐる問題に関して大きく進展することができた。 作業は昨年1年間で当初の遅れをかなり取り戻すことができたが、前2021年度までのコロナによる作業遅延の影響による残った作業を完遂するために、さらに1年間の期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
残された『アームナーヤマンジャリー』の校訂・訳注研究に加えて、本研究の過程において明らかとなったプトゥン・リンチェントゥプの『サンプタ広注』と『アームナーヤマンジャリー』との関係についても射程に入れる予定である。これは『アームナーヤマンジャリー』自体の「広注(ティーカー)」としての性質、あるいはインドにおける注釈ジャンルや注釈基準の問題とも密接に関わってくるが、プトゥンを中心としたチベットにおける注釈カテゴリーや注釈基準がインド仏教注釈文献からにどのような影響を受けているのかについても考察を進めたい。
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