研究課題/領域番号 |
19K00068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 国際仏教学大学院大学 |
研究代表者 |
田戸 大智 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 講師 (10726847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 論義 / 三論宗 / 大乗義章 / 大乗義章抄 / 恵日古光鈔 / 慧遠 / 寛信 / 頼瑜 / 大般涅槃経疏 / 吉蔵 / 聖守 / 東大寺 / 法勝寺御八講 / 宗性 / 密教 / 真空 / 仏教学 / 日本仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、天台論義や法相論義と比べ研究が手薄であった三論論義について、東大寺などに所蔵される三論宗関連の論義資料を活用・分析することにより、①教理的観点から具体的に何が議論されていたのかを明らかにし、②そうした三論宗の論義が実は鎌倉期に東密学派で起こった密教論義の素地となったことを実証的に考究する。この2点を解明することにより、三論宗の問題意識や思考構造、および東密教学との思想的連動性という、未開拓であった中世仏教の新たな側面を可視化する。
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研究成果の概要 |
日本の三論宗は、院政期以降、吉蔵の教学だけでなく、浄影寺慧遠の教学を修学することに重点を置いていた。特に、『大乗義章』は三論宗の基本文献として認識され、「法勝寺御八講」では『大乗義章』の学説が吉蔵の学説よりも論義の主題となることが多いことを指摘した。また、三論宗の論義を集成した『恵日古光鈔』に検討を加え、論義の一部が珍海まで遡求できることを明らかにした。 さらに、日本の三論宗が空海の流れを継承する東密学派と関係性が深いことに注目し、新義教学の大成者である頼瑜が真空より密教だけでなく、三論宗の教学、特に『大乗義章』を積極的に修学していた実態を分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本仏教では、院政期以降、論義という対論形式による教学研鑽が隆盛となった。論義は教学を深化させる基盤として、常に日本仏教の底流に伏在しながら南都北嶺は勿論のこと、真言宗の教学発展等に寄与している。近年の論義研究では、ようやく教学的視点から論義内容の検証が行われるようになったが、三論宗の論義は法相宗や天台宗に比べ研究が立ち遅れていた。 今回の研究では、新出資料にもとづいて、浄影寺慧遠の教学が重視され、吉蔵の教学と互いに補完するような関係にあったことを解明し、研究の道筋をつけた。また、三論宗の論義が密教寺院で兼学された実態を踏まえ、真言宗との連動性に注目する必要性があることを具体的に検証できた。
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