研究課題/領域番号 |
19K00089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
大川 玲子 明治学院大学, 国際学部, 教授 (50434189)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | イスラーム / クルアーン / 現代エジプト / イスラ―ム / クルアーン解釈 / カイロ大学 / アズハル大学 / タフスィール / エジプト / コーラン / アブー・ザイド / 聖典解釈 |
研究開始時の研究の概要 |
エジプトのムスリム社会では、近代以降現代に至るまで、クルアーン(コーラン)解釈をめぐり改革派層と保守派層の間で対立が続いている。本研究は、この対立がどのような思想的・社会的構造のなかで生じているのかを解明することを目的とし、近代化・西洋化を推進したカイロ大学の出身者と、伝統的イスラーム教育の権威であるアズハル大学の出身者による、アラビア語解釈書を比較分析する。双方の大学から、ビント・シャーティウ、アブー・ザイド、シャアラーウィーなど、3名ずつ計6名をとりあげ、解釈の特徴と社会での受容という2つの観点から論じる。
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研究成果の概要 |
「現代クルアーン解釈者と越境としての亡命―ファズルル・ラフマーンとナスル・ アブー・ザイド―」ではカイロ大学出身の学者アブー・ザイドのクルアーン解釈を解明し、神の言葉であるクルアーン解釈の現代化の難しさを指摘した。また「イスラームの聖典に読む「労働」とジェンダー~クルアーンとその解釈の可能性~」(2023年刊行予定)ではアズハル出身の学者シャアラーウィーのクルアーン解釈書を分析し、神の言葉であるクルアーン解釈が強い保守性を帯びて一般庶民から支持されている様相を明らかにした。 これらは現代エジプトにおけるクルアーン解釈の保守(アズハル大学)と革新(カイロ大学)の緊張を代弁している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一般的にイスラームはクルアーンに書かれていることに厳格に従って生活していると考えられることが多い。だが実際には時代や地域によってクルアーンの解釈が変化しており、クルアーンに基づきつつ柔軟な現実との折衷が展開されてきた。本研究は現代エジプトのクルアーン解釈に焦点をあてたものであるが、この現実との柔軟な折衷の実態について解明することができた。このため、イスラームの一般的イメージとは異なる柔軟さとまた同時に伝統を墨守する性質の根強さの双方を具体的に示すことができた。 学術的にも社会的にもイスラーム社会における聖典クルアーンの役割の重要性と、信徒による解釈の多様性を明らかにすることができた。
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