研究課題/領域番号 |
19K00091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
渡部 奈々 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (00731449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | LGBT / 同性婚 / アルゼンチン / カトリック教会 / ペンテコステ派教会 / トランスジェンダー / ICM教会 / カトリック / プライドパレード / クィア神学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、①近年家族やジェンダー問題に対して穏健な姿勢を示しているアルゼンチンカトリック教会の宗教言説の変容を分析し、②LGBTや同性婚に強く反対するペンテコステ派を中心とするプロテスタント教会の言説と比較・検討する。さらに、③実際に教会による同性婚の承認を求めているLGBT当事者たちを調査し、彼ら/彼女らの主張を支える宗教言説を考察する。そしてLGBT当事者のアイデンティティ(キリスト者であり同性愛/両性愛者である)が宗教的にどのように扱われるべきかを検討し、宗教から切り離して論じられることの多いLGBTイシューに関して、研究分析における新たな視座を提供したいと考える。
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研究成果の概要 |
本研究で明らかになったのは次の点である。①カトリック教会では教皇フランシスコが性的マイノリティを容認する発言をしているが、教会は同性婚を認めない姿勢を崩していない。しかしアルゼンチンのカトリック信徒の半数以上が同性婚に賛成している。②ペンテコステ派教会では同性愛者やトランスジェンダーを聖書の教えに反するものとして認めておらず、信徒教育も徹底されている。③LGBTが集まるメトロポリタン・コミュニティ教会では、クィア神学にもとづいて礼拝が捧げられており、同性カップルの結婚式も執り行っている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アルゼンチンはLGBT権利保障における先進国であるにも関わらず、日本ではその実態がほとんど知られていない。本研究はその点を明らかにするとともに、LGBT権利運動における宗教的側面に注目して、法的権利とは異なる宗教的権利(同性婚の宗教的認知等)がどのような言説で語られているのかを示した。アルゼンチンの事例は差別の撤廃というグローバルな課題がそれぞれの地域において文化的・宗教的なローカルな文脈の影響を受けることを実証するとともに、欧米中心のLGBTに関する議論や研究をさらに豊かにし、LGBTの権利保障に取り組む日本にとっても示唆に富むものとなろう。
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