研究課題/領域番号 |
19K00093
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
ペ ギトク 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (60814382)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 植民地朝鮮 / キリスト教 / 朝鮮総督府のキリスト教政策 / 帝国日本 / 植民地朝鮮のキリスト教 / 植民地朝鮮の西欧宣教師 / 近代日韓キリスト教 / 帝国日本とキリスト教 / 植民地朝鮮における朝鮮教会の自立と自治 / 朝鮮総督府 / キリスト教政策 / 帝国史 / 近代宗教史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、植民地期における朝鮮総督府のキリスト教政策を、当局内部の膨大な資料を網羅的に分析することで、全体的、体系的に明らかにすることを目的とする。具体的には『耶蘇教ニ関スル諸報告』(1909年)、『朝鮮の統治と基督教』(1920年)、『基督教ニ関スル綴』(1924年)、『基督教財団法人関係書類』(1933年)、『神道寺院法人基督教法人認可関係書類』(1941年)など、朝鮮総督府が作成していたキリスト教関係の史料を網羅し、先行研究において短編的に取り上げられてきたこれらの史料を全体的に収集・データベース化するとともにその分析を通して、キリスト教政策の全体像を朝鮮総督府の内部から明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、植民地朝鮮における朝鮮総督府のキリスト教政策の全体像を明らかにするために、朝鮮総督府が作成した基礎的諸史料を網羅的に収集・データベース化し、分析を行うことである。 昨年度に引き続き今年度は、韓国における朝鮮総督府のキリスト教関連史料の収集およびフィールドワークを重点的に実施しつつ、その成果を発表した。そして、本研究の初期段階から取り組んでいる朝鮮総督府のキリスト教政策の時期・事件・教派ごとの分類作業を通じて、充実したデータベースを構築することができた。このデータベースから朝鮮総督府のキリスト教政策を朝鮮総督府・西欧宣教師(主にアメリカ)・朝鮮教会という三者の関係性から浮き彫りにする作業を行っている。「崔重珍の「自由教会」に関する一考察」(2022年11月26日、朝鮮史研究会関西部会、11月例会)、(2023年3月16日、コリア文学研究会)および「植民地朝鮮における朝鮮教会の自治運動について―崔重珍の「自由教会」を中心に」(2023年3月28日、立命館大学・高麗大学校共同セミナー)の報告を大幅に修正・発展させた「日本組合教会の朝鮮伝道と朝鮮教会の自治に関する一考察」(2023年8月5日)を研究報告として行った。その結果、1910年代の初期における朝鮮総督府のキリスト教政策が、主に日本組合教会の朝鮮伝道を通じた朝鮮教会の組合教会への加入や西欧宣教師への懐柔政策ではあったこと、そして自由教会などの朝鮮人による自治教会の動きが、キリスト教政策の方向転換を促したことが明らかになった。そのキリスト教政策の方向転換として実施されたのが、西欧宣教師からの自立と自治を成し遂げた朝鮮教会の成立である。そして西欧宣教師からの自立と自治を成し遂げた「教会」という「経験」は、同様に西欧宣教師から独立を成し遂げた日本組合教会への加入を促した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究は昨年に引き続き、韓国現地での資料収集を行うと共に、研究初期段階から取り組んできた「朝鮮総督府キリスト教関連行政文書史料」のデータベース化の作業を集中的に行った。また、収集した史料の性格、背景、史料間の総合関係などの史料分析を行う作業を続いている。ところが、朝鮮総督府の宗教政策の全体像を明らかにするためには、キリスト教政策だけではなく、他宗教との関連・比較の分析も不可欠のため、詳細な分類作業が遅れている。 その一方で、「朝鮮総督府キリスト教関連行政史料」のデータベースに基づいて、朝鮮総督府のキリスト教政策を朝鮮総督府、西欧宣教師、朝鮮教会という3者の関係性から捉えなおす作業は継続した結果、1920年代までの朝鮮総督府のキリスト教政策の全体像が明らかになっている。 そして、その朝鮮総督府のキリスト教政策が植民地朝鮮の各地域にもたらした影響とその後の展開を浮き彫りにするため、昨年度に引き続き、全羅地域での現地調査を継続した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究初期から行ってきた「朝鮮総督府のキリスト教関連行政文書史料」のデータベース化を時期別・事件別・人物別・教団別に分類する作業を完成させるとともに、その分析および研究成果を発表する。また日本における朝鮮総督府の宗教関連史料の収集を継続していく一方で、韓国における日本組合教会と朝鮮教会との関連性を浮き彫りにするための現地調査も行う。このような作業をとおして、朝鮮総督府のキリスト教政策の全体像を明らかにすることで、現在の韓国におけるキリスト教および宗教地形を理解するための手がかりにする。 そして2023年度から取り組んでいる「朝鮮総督府のキリスト教関連行政文書史料」のデータベースから、植民地朝鮮における朝鮮総督府のキリスト教政策を浮き彫りにする多数の情報が得られたため、これらの分析を丁寧に行っていく。特に1910年代から1920年代における朝鮮総督府のキリスト教政策が西欧宣教師(主にアメリカ)、朝鮮総督府、朝鮮教会、日本組合教会という四者の相互関係の中でそれぞれの思惑が錯綜しつつ繰り広げられたことが明らかになった。よって、今後の研究においては、1920年代以降、朝鮮総督府のキリスト教政策が如何なる様相を呈しつつ展開されたのかについての研究に取り組む。 それらの研究成果を日本と韓国の関連学会(日本宗教学会、韓国宗教学会、日本思想史学会、韓国基督教歴史学会)に研究報告し公表すると同時に、研究報告書の作成に取り組む。
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