研究課題/領域番号 |
19K00117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
志野 好伸 明治大学, 文学部, 専任教授 (50345237)
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研究分担者 |
ラム ウィンカン (林永強) 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (90636573)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 植民地 / 京都学派 / 現象学 / 西田幾多郎 / 張東ソン / 人生哲学 / 本体論 / 全体主義 / I. A. Richard / 金岳霖 / 西光万吉 / 林茂生 / 台湾哲学 / 朴鐘鴻 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀の植民地体験が日本人哲学者の思索にどのような影響を与えているのか、そして植民地下で日本の臣民として育ち、日本の大学で学んだ台湾人や朝鮮人の哲学者が、京都学派をはじめとする当時の日本における哲学研究とどのように格闘し、自身の哲学を練り上げていったかを探る。台北帝国大学に勤務した務台理作、柳田謙十郎、京城帝国大学に赴任した安倍能成、台湾人哲学者として、日本に留学した林茂生、洪耀勲、曾天従、朝鮮人哲学者として朴鐘鴻などが主な分析対象である。個々の思想家の純哲学的な理論構成に配慮しつつ、思想史的観点から当時の東アジアを舞台とした具体的な知的交流の様相を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、日本による植民地拡大という状況の中で、東アジアの哲学者たちがどのように思索を展開したのかという観点にたち、個別事例を検討した。中国大陸においては、それまで西洋哲学を中心に研究していた張東ソン(くさかんむりに孫)、金岳霖、沈有鼎らが、この時期、西欧由来の哲学とは区別された中国的な哲学を模索していたことを明らかにした。日本に関しては、西田幾多郎の「日本文化の問題」についてとりあげ、そこで歴史の非合理性が強調されていることを明らかにした。台湾については、洪耀勲らが、京都学派からの刺激を受け、現象学を批判的に受容しながら、台湾の風土についての考察などを行っていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
普遍的な真理を追求する哲学者が、日本による植民地拡大という状況下において、みずからが所属する地域の文化的特徴を哲学的な次元で把握しなおそうとした事例について解明することができた。安易にナショナリズムを鼓吹することなく、個別的な地域の特徴を哲学的に論証しようとした試みの諸相を明らかにすることにより、多様な文化の共存を目指す上での参照軸を提供することができた。また、期間中「東アジアレクチャーシリーズ」と題した講演会をオンライン配信で5回実施し、国内外の研究者と意見交換を行い、学問水準の向上に努めた。
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