研究課題/領域番号 |
19K00125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
山田 望 南山大学, 総合政策学部, 教授 (70279967)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ペラギウス論争 / ペラギウス / ペラギウス派 / アウグスティヌス / ドナトゥス派 / 異端 / 東方神学 / 影響史 / エヴァグリオス / バシレイオス / 霊魂伝遺説 / 原罪論 / ネストリオス / クリュソストモス / アンティオケイア学派 / 女性信徒 / 救貧活動 / 孤児 / 説教 / エクラヌムのユリアヌス / 女性論 / 陣痛解釈 / 陣痛 / 女性観 / ユリアヌス / 神化思想 / アンティオケイア伝承 / オリゲネス論争 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋思想史上、最大の異端と称されてきたペラギウス派について、1)ペラギウス派神学思想が東方神学の観点からは異端思想ではないとすれば、なぜ西方側、とりわけアウグスティヌス陣営から激しく糾弾、排斥されるに至ったのか、2)東方神学の内、アンティオケイア伝承を基本に据えながらも、異なる神学伝承からの影響が確認されるのはなぜかといった重要課題に対し、本研究では、ペラギウス派神学思想を、伝承史的・教会政治史的検証により解明される基本思想を踏まえつつも、その思想全体については、相互影響史的・発達史的観点の導入により、その都度新たな思想要素を取込みつつ展開された動的な思想的流れとして解明することを目的とする。
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研究成果の概要 |
ペラギウス派神学は、東方神学におけるアンティオキア伝承の人間観を受け継いでいる。しかし神化思想の大枠においては、主流派たるオリゲネスからの影響も見られ(特にパウロ書簡注解)、神学実践では更に異なるバシレイオスからの影響も存在する。これは、相互影響・発達史的観点からすれば決して矛盾などではなく、オリゲネスが異端の嫌疑を受けて以降、ペラギウス派は、それに代わる東方思想としてアンティオキア伝承やバシレイオスらを範とべく思想的発展をきたしたと考えられる。他方、彼らを排斥したアウグスティヌス陣営にも、オリゲネスやペラギウス派への反発により、自由意志の否定や原罪論の提唱へと思想的先鋭化を来すようになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、全く別個の神学論争として見なされていたオリゲネス論争、ドナトゥス論争、ペラギウス論争、そしてネストリオス論争といった古代教会史上の神学論争間の思想史的関連にとって、対立する陣営間の人脈関係を元に、その間に働いていた相互影響・発達史的観点に基づく新たな方法論の導入がきわめて有効に働いた。これらは本来別個の神学論争だったのではなく、各々の陣営がお互いに影響し合いながら自らの神学思想をより先鋭化されたものへと発展させていったことが明らかとなった。また、男性中心の論争の背後で、女性信徒による孤児救済の慈善活動が行われていたとの新たな事実も見出され、思想史上の空白部分を埋める学術的成果が得られた。
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