研究課題/領域番号 |
19K00126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
三笘 利幸 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (60412615)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 伊波普猷 / 沖縄 / 沖縄学 / 科学思想史 / 包摂/排除 / 進化論 / 優生思想 / 科学 / 言語学 / 人類学 / 生物進化論 / 優生学 / 女性 / 権利 / 近代科学 / 日本近代科学思想史 / 社会ダーウィニズム |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの伊波普猷研究は、伊波の思想を日本への同化主義とみるか否かといった二項対立的な枠組みにとどまっていた。本研究は、そうした従来の研究とは異なり、伊波の「沖縄学」を日本の科学思想史からとらえ返そうとするものである。東京帝国大学で学んだ伊波は当時の最先端の「科学」によってその「沖縄学」を形成していった。そこで鍵となるのは歴史学や言語学のみならず、進化論、優生学あるいは遺伝学といった自然科学的知見も含み込んだ「科学」である。この点をふまえ、本研究では、伊波の「沖縄学」を科学思想史からとらえ返すことで新たな伊波の姿を浮かび上がらせ、同時に、近代日本の科学思想の意義と限界もあわせて剔抉する。
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研究成果の概要 |
本研究は、伊波普猷の思想がいかにして生み出されたのかを、日本の科学思想史からとらえ返すものである。19世紀から20世紀の世紀転換期に生きた伊波は、当時の最先端「科学」に大きく規定されつつその学的営為を重ねた。彼のまわりには、歴史学や言語学のみならず、進化論、優生学あるいは遺伝学といった自然科学までもがあふれていた。そうした「科学」の状況と、沖縄のおかれた政治的-文化的位置とが相まって、日本に包摂されながら排除される沖縄を引き受けつつ内破していく思想が形成されたことをあきらかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既存の研究では、伊波普猷は日本への同化主義を唱えたかどうかがひとつの大きな論点となってきたが、本研究では、そうした二項対立的な議論から脱し、科学思想史の中に伊波の思想を投げ返し、当時の知的状況が彼にどのような思想を生み出させていったのかをあきらかにしたところに学術的意義がある。それは、伊波の思想を、沖縄学として単に称揚したり、同化主義だとして切り捨てたりするという評価の仕方から脱して、日本近代の「科学」が知識人をどう規定していったのか、そしてそこに生み出された言説がどのような意味を持ったのかを捉えるという、科学(史)への根本的な批判の地平を切り開くものである。
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