研究課題/領域番号 |
19K00128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
韓 燕麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 映画史 / アジア映画人 / 欧米諸国 / ヨーロッパ / 無声映画 / アジア映画 |
研究開始時の研究の概要 |
無声映画期は、欧米で最新技術をもって作られた映像が、もっぱらアジアへ輸出される時期だと考えられてきた。映像技師をはじめとする映画人の移動も、欧米からアジアへという一方的な流ればかり注目されてきた。しかし無声映画期の欧米諸国におけるアジア映画の上映と受容の実態に関する研究は決して充分とはいえない。本研究は従来の国別の映画史研究では看過されてきた無声映画期の史実を、地域横断的な視点で論じようとする。さらに、異民族に向けて自らの「正しい」表象を構築しようとするアジア映画人の努力、そしてアジアからの文化的発信は欧米諸国にいかに受容されたかを解明しようとする。
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研究実績の概要 |
本研究はこれまで充分に踏査されてこなかったヨーロッパ諸国におけるアジア映画の受容の実態およびアジア映画人の活動について、実態調査と分析を行うことを目的としている。欧米諸国の無声映画に描かれる国籍不明な「東洋人」イメージに対して、日本も中国も20世紀初頭から国辱としてずっと抗議しつづけていた。当時の映画人も、いかに自国産の映画をもって欧米の歪んだ認識を是正しようと議論しつつ、映画作品の中でそれを実践しつづけた。アジア映画はその最初期から欧米からの視線を強く意識しながら発展してきたものだと言えよう。しかし映画を利用した文化的発信は欧米諸国において、実際どのように受容され、そしていかなる効果があったのか、いまだ不明瞭なままのところが多い。 今年度は、ようやく海外へ赴いて研究発表と調査を行うことができ、2022年12月にベルギーのルーヴェン・カトリック大学主催の国際ワークショップに参加して研究発表を行った。ヨーロッパ各国の映画研究者と日本史研究者たちと非常に有意義な対面交流を行うことができた。 また、移民関連で積極的に研究会を企画・参加した。とくに2023年2月に企画・主催した研究会では、無声映画期のヨーロッパとアメリカにおける日本映画人の活動について、日本映画の研究者によって貴重な資料を駆使した研究発表が行われた。広範囲に跨る研究テーマであるため、今後は共同研究の可能性も考えるべきだと思われる。単著で執筆した研究成果の一部はそれぞれ香港と北京で出版された学術書に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ようやく海外へ赴いて研究発表と資料調査を行うことができ、移民研究関連で積極的に研究会の企画も行った。単著で執筆した研究成果の一部はそれぞれ香港と北京で出版された学術書に掲載され、全体的に順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍がほとんど終息したため、今年度は積極的に計画を立てて、調査に出かける予定である。これまで三年間で現地調査を行えなかった時間を巻き戻しつつ、最終年度の総まとめとして、国際ワークショップの開催・研究成果の発行など同時進行を行う予定である。
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