研究課題/領域番号 |
19K00133
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石田 圭子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40529947)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ファシズム / ナチズム / 崇高 / 美学 / 芸術 / モダニズム / 退廃芸術 / エミール・ノルデ / 政治と美学 / 戦争画 / 崇高の美学 / パウル・ルートヴィヒ・トロースト / 第三帝国の建築 / ヒトラーの芸術論 / 第三帝国の戦争画 / K.H.ボーラー / 突然性 / ヒトラー / 政治と崇高 / 政治 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「崇高」の美学と政治の関係についてファシズムを対象に考察する。崇高は一般的な美学的理解において、美の調和を打ち破り、対象の無限性を呈示する経験とされている。しかし他方で、崇高の感情を反省するなら、それは高揚感をもたらし、自己を超越するものとの一体感を得るような経験でもありうる。そのため政治の領域において崇高の感情はしばしば利用され、それを最大限に利用したのがファシズムであった。本研究は崇高という観点からファシズム期および今日のファシズムを表現する視覚表象を分析し、崇高の美学と政治の関係について考える。また、崇高の美学がイデオロギー化していく機制について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では「崇高」の美学と政治の関係についてファシズムを対象に考察し、崇高の美学がファシズムの視覚表象においてどのように表れ利用されたかを多角的に分析し、ファシズムの「ポピュリスト的」政治における「崇高」の変化と利用について明らかにすることができた。研究期間には、日本のファシズムにおける視覚表象の問題も研究の対象として取り上げたものの、とりわけこれまで研究が十分になされていなかったナチズムの美術・建築の研究に注力し、具体的な分析を通してその美学と芸術の本質を解明することができた。その成果は下記の複数の論文および著書を通じて公表している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで崇高の美学がファシズムの政治やファシズム表象との関係性から論じられることは稀であり、その考察は十分に行われてこなかった。本研究の取り組みによって、崇高の美学の研究に新たな見解と解釈の道を切り拓くことができたと考える。 また、今日の政治には、ポピュリスムやアンチ・グローバリズムの傾向において、新たな全体性と中心の創出への要求が認められるが、その際には崇高の感情が利用されることもある。研究はそうした状況に対し美学と政治の連携のひとつのパターンを顕在化することによって、その連携の危険と兆候を示し、今日の状況に対処するためのひとつの手がかりを提供しえたと考える。
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