研究課題/領域番号 |
19K00136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
齋藤 桂 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 講師 (20582852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 股旅 / 大菩薩峠 / 中里介山 / 音楽 / 大衆文化 / やくざ踊り / 映画 / 大衆小説 / ビート・ジェネレーション / 都市文化 / 農村文化 / 任侠 / 時代小説 / 近代音楽 / 日本音楽 / 舞踊 / 近代 / 流行歌 / 大衆芸能 / 音楽学 / 芸能史 / 芸能 |
研究開始時の研究の概要 |
近・現代日本において「股旅もの」と呼ばれる「やくざ者」や「博徒」のような社会的逸脱者が旅をするという類型の物語に基づく芸能が、どのように人々に受け入れられたか、また社会の中でどのような役割を果たしてきたのかを、音楽・舞踊を中心にしつつ、近世末期から現代にいたるまでの日本の芸能史を広く視野に入れて解明する。特に、これらの芸能に見られる社会規範の概念、あるいは近代日本の国民文化との関わりといった部分に焦点を当てる。
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研究実績の概要 |
今年度も昨年度に引き続き、文献中心の研究を行った。 今年度はまず「大衆小説」「時代小説」の先駆けとして、股旅ものの祖型の一つに位置づけられる中里介山による小説『大菩薩峠』における音楽と芸能の扱いについて調査・考察を行い、論文「『大菩薩峠』とベートーヴェン――大衆・民衆の芸術とは何か」を執筆・刊行した(『ベートーヴェンと大衆文化:受容のプリズム』所収)。本論文では、西洋芸術音楽に代表される高文化としての音楽が、受容においていかに「大衆」のものであることが強調されるのかを明らかにし、また作中でしばしば登場する周縁的な芸能の位置づけが、社会主義思想の普及を背景になされたものであることを指摘した。さらに、作中であらわれる楽器にみられる大衆の表象についても同様に、大衆性が強調されていることの指摘を行った。加えてに、小説の分析を通して、ジャンルや媒体を超えた「股旅もの」の世界観の創出過程を解明する手法について、一定の進展を得ることができた。 続いて、昨年度に続いて「やくざ踊り」の資料収集を行った。今年度はおもに国立国会図書館、東京藝術大学、京都府立図書館を中心に、特に新聞や雑誌に集中して調査を行い、戦後に流行した当該芸能の戦前・戦中との連続性についての分析・考察を行っている。また前年度から続く課題としてインタビュー調査等を行う予定であったが、同時代を知るインフォーマントを探している段階である。 加えて、2024年度に行う予定の、大衆演劇や舞踊において現在実践されている股旅ものについて予備的な資料調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画から、文献調査の比重を大幅に増して研究を進めている。現時点でコロナウィルス流行の問題はほぼないが、当初の進展の遅れを文献を中心にカバーするために時間がかかり「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
イベントおよびインタビュー調査を行うという当初の計画は維持しつつ、文献調査を進める。前年度と同様、オンラインを活用した調査については、遠隔会議システム等を使ったインタビュー、舞台のオンライン配信の視聴等を検討しているが、併せて現地調査の実施する予定である。
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