研究課題/領域番号 |
19K00137
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
要 真理子 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (40420426)
|
研究分担者 |
前田 茂 京都精華大学, 国際文化学部, 教授 (80368042)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | ウィンダム・ルイス / モダニズム / メディア論 / ナショナリズム / タイポグラフィ / 地政学 / 様式論 / グローバリズム / 感性論 / アート / イデオロギー |
研究開始時の研究の概要 |
20世紀初頭に英国唯一の前衛芸術運動ヴォーティシズムを先導したウィンダム・ルイスが1940年代にメディア論におけるグローバリズムの先駆的思想を提示した経緯を明らかにし、そのうえで、今日のグローバリズムならびにナショナリズムの潮流を美学的/感性論的な観点から再検証する。これまでの予備的な研究を通じて、ルイスにおいては、未来派への不信感、ナチズムへの共感、そしてマーシャル・マクルーハンの「グローバル・ヴィレッジ」概念にも通じる思想には、共通する思想背景があることが明らかとなりつつある。政治学的には両立不可能にも見える以上の態度がいかにしてルイス個人において矛盾なく共存できたのかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本課題は、COVID-19感染症拡大による行動制限を受け、当初の計画を変更・修正しつつ期間を延長して実施・継続している。 1)2023年度4月より1年間、研究代表者は、所属機関である跡見学園女子大学の留学制度を利用し、研究協力者が館長を務める国立西洋美術館でリサーチフェローとして館内資料および研究課題関連の作品調査を実施した。館外所蔵の作品については、イェール大学英国美術研究所、大英博物館で実地調査を行った。その際、館長と2023年6月30日、12月12日、2024年3月12日に直接面談し助言をいただく機会を得た。2)2023年7月15日に文京区の文化施設アカデミー茗台において、ポール・エドワーズ教授を招へい、田中館長をコメンタリに迎え、公開研究会を実施した。研究代表者・分担者・協力者4名、当日の参加者2名と事前に跡見学園女子大学茗荷谷図書館所蔵のルイスの原著26冊、翻訳を含む関連文献43冊を閲覧した。3)英国のウィンダム・ルイス学会が主催しているルイス読書会に引き続き代表者・分担者およびエドワーズ教授の3名で参加した。4)本科研課題の中間報告として、9月16日に、Asian Conference of Design History and Theory (ACDHT) 2023で研究分担者と共同発表を行い、その内容を学会誌に投稿した。5)2024年2月27日に開催されたエドワーズ教授の講演会に参加した。 また、課題の成果の一部として、水声社より『The Caliph’s Design』の翻訳の出版が決定し、現在解題を含め、今年度刊行を目指し作業を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者は、2023年度に所属機関である跡見学園女子大学の留学制度を利用し、研究時間を確保できたことが大きい。また、シンポジウムの開催や研究協力者の監修したルイスの著作の出版、また研究代表者による翻訳の出版が確定したことなど、この一年間の収穫のおかげで、本プロジェクトを発展的に継承する次の課題の構想も生まれた。
|
今後の研究の推進方策 |
1)研究代表者は、水声社より『The Caliph’s Design』の解題付き翻訳を出版する。印刷代を科研費から支出する。この訳書に関して代表者は、原著の誤字や不明な言い回しに加え、美術史の文脈との照合から議論の妥当性などを分担者や研究協力者2名に適宜相談・確認しつつ、この研究プロジェクトの成果報告といえるものになるよう努力している。 2)ウィンダム・ルイス記念財団が主催しているルイス読書会に引き続き代表者・分担者およびエドワーズ教授の3名で参加する予定。この読書会で扱われる資料の購入費は適宜必要となると予想される。 3)本研究課題の成果報告の一部として2024年度の研究機関紀要に投稿を予定している。 また、研究代表者・分担者・協力者からなる研究論文集の出版、ウィンダム・ルイスの作品展の開催については、引き続き実施の可能性を探る。
|