研究課題/領域番号 |
19K00145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
大濱 慶子 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30708566)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | スクエアダンス / 性別二元論 / 改革開放 / ペアダンス / 交際舞 / 交誼舞 / 戦後社交ダンスの日中比較 / 文化娯楽 / プロレタリア / 労働組合 / レクリエーション / フォークダンス / 大衆娯楽 / 社交ダンス / 上海租界 / 日中舞踏交流史 / 移動と越境 / 中国 |
研究開始時の研究の概要 |
近代西洋から東洋に移動してきた娯楽の一つである社交ダンスは、日本では戦後「人目につかない場所へ」隔離されたが、中国においては、広大な大地で大きな生命力を育み、屋内外で楽しむ大衆娯楽として開花した。本研究は20世紀、国標舞という新たな舞台芸術ジャンルを切り拓くに至った中国の社交ダンスの航跡について、時空を超えそれを編んだ民衆の立ち位置から読み解くとともに、ペアダンス発展の実相を文化史的観点から明らかにすることを目的としている。中国の社交ダンスの発展には日本が深く関わっていることから、本研究は日中のダンス交流史を架橋する試みとなる。
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研究実績の概要 |
20世紀中国の社交ダンスの発展を解明するため、本年度は戦後の社交ダンスの復興状況についてさらに掘り下げて検証し、改革開放後の展開の道筋をつかむ研究を行った。具体的な実施状況は以下の通りである。 1.資料発掘と収集 本年度もコロナ禍の影響を受け、依然として現地調査が困難であったことから、国内で可能な研究に切り替え、資料収集とデータの整理に力を注いだ。昨年度に続き国立国会図書館において関連の文献、雑誌記事の収集を行ったほか、日本の社交ダンス、スクエアダンス、フォークダンスの教則本、戦後日本共産党の文化政策関連記事の収集、中国語で書かれた一次資料のデータ入力作業に取り組み、日中の比較検討を行った。 2.研究成果の公表 2022年11月、日本比較文学会第53回中部大会シンポジウム「日中の労働と娯楽にみる戦中戦後の連続性―歌い、踊る身体を通して」においてパネリストとして参加し、「戦後日中のペアダンスの流行からみた労働者の娯楽と身体―社交ダンス・フォークダンス・集団舞」と題する報告を行った。 3.研究集会の開催 社交ダンスと関係がある性別二元論、セクシュアリティについての知見を深めるため、2022年12月、中国ジェンダー研究会の協力の下、三成美保教授(追手門学院大学)を招いて「SOGI(Sexual Orientation & Gender Identity)について考える―歴史と比較をふまえて」と題する講演会を対面で開催した。研究者と情報交換を行う有意義な機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外に渡航して現地調査が実施できない状況が続き、研究全体の進捗状況は当初計画より後ろ倒しになっている。本年度予定していた改革開放後の研究については、当時の中国国内の情勢などにより複雑な経緯をたどっていたことが浮かび上がり、まだ十分な実証的分析が行われているとは言い難い。 このような課題が残されている一方で、国内での資料収集や研究に切り替えたことによって新たな研究の視角を見いだし、それらの知見をまとめてシンポジウムで発表することができたこと、また公表した研究成果から共著書など論稿にまとめ、出版する機会を複数いただくなど新たな進展があった。以上を踏まえ、このような評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
改革開放後における中国の社交ダンス再興の分析について、資料収集や研究方法を再検討し、1950年代と1980年代の異同を掘り下げ、日中比較の観点から明らかにしていく。さらにこれまでの研究で得られた知見を整理し、20世紀の中国の社交ダンスの発展史の全体像を考察し、まとめる。
現在準備している論稿を含め国外も視野に入れつつ、分析結果の公表や学会での口頭発表を行い、これまでに蓄積してきた研究成果の発信、社会への還元に努める。
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