研究課題/領域番号 |
19K00147
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 神奈川県立近代美術館 |
研究代表者 |
朝木 由香 神奈川県立近代美術館, その他部局等, 研究員 (50450797)
|
研究分担者 |
笠井 裕之 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (10265944)
朝吹 亮二 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 名誉教授 (70159383)
松田 健児 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 教授 (70548255)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 瀧口修造 / ジュアン・ミロ / 海外超現実主義作品展 / シュルレアリスム / 土方定一 / エウダル・セラ / マン・レイ / ローランド・ペンローズ / 山中散生 / 宮脇愛子 / ジュゼップ・リュレンス・アルティガス / ジョセフ・コーネル / 風車詩社 / ジュアン・プラッツ / 共同制作 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではジュアン・ミロと瀧口修造による共同制作を考究する。瀧口は戦前に世界で初めてミロの研究書『ミロ』(アトリヱ社、1940年)を著した。戦後のミロの来日(1966年)を機に始まる交流が、晩年の詩画集の共同制作へと発展したことを踏まえれば、ミロは瀧口の戦前と戦後を繋ぐ重要な作家と見なしうる。具体的には1970年以降に瀧口がミロと共同制作した2冊の詩画集『手づくり諺』『ミロの星とともに』を主な調査対象とし、その成立過程を往復書簡から検証し、成果として「往復書簡資料集」の刊行を目指す。
|
研究実績の概要 |
シュルレアリスムは20世紀前半の前衛思潮として、フランスの詩人アンドレ・ブルトンを中心に展開した。日本では、瀧口修造(1903-79)が第二次世界大戦前、その受容において主導的役割を担ったが、戦時下の思想統制により治安維持法違反の嫌疑で検挙されたことで、活動は終焉したとの見方が支配的である。しかし、本研究では、挫折を経た瀧口の戦前、戦後の連関性を見出しながら、彼が終生、追求した「共同性」に独自のシュルレアリスムを確認したい。 その手がかりの一つを、ジュアン・ミロ(1893-1983)と瀧口との関係に求め、具体的には国内外諸機関に残る双方の書簡調査を進めている。二人の交流は、戦前、瀧口が世界で初めてミロの評伝を書いたことを起点に、戦後、二度のミロの来日(1966年と1970年)を通して深められ、その結果、詩画集『手づくり諺』(1970年)と詩画集『ミロの星とともに』(1978年)の共作へと至った。こうした創作の「共同性」を裏付ける書簡や作品資料の整理を経て、現在、資料集の刊行を目指して編集作業を進めている。 一方、上記の作業と併行し、研究代表者(朝木)は瀧口における詩画集創作の根源を瀧口におけるマン・レイの受容に求め、戦前、戦後のマン・レイ宛書簡調査の研究成果を世田谷美術館での講演会で発表した。また、瀧口修造と交流のあった加納光於の個展を所属する神奈川県立近代美術館で行った。研究分担者(松田)は、ピカソ、ミロ等、カタルーニャの作家と日本作家の版画の国際交流について、研究協力者(リカル・ブル)と調査し、その成果を「スペインのイメージ 版画を通じて写し伝わるすがた」展図録(国立西洋美術館他)に掲載発表した。研究分担者(笠井)は、慶應義塾大学アート・センターが主催する瀧口修造研究会等で発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
作業の遅延は、新型コロナウィルス感染症の影響で海外渡航が難しくなったため、本活動が基本としてきた国外の各機関での実施調査が困難になったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
次のような推進方策を立てている。 今年度末までに書簡の清書を終え、ミロ、瀧口の著作権・書簡所蔵関連諸機関の確認を得た上で、本研究メンバーは各論を執筆。ミロ・瀧口書簡資料集の出版化を視野に、報告書にまとめることを目指す。 一方、研究のテーマを戦後の日本とカタルーニャ文化の交流へ広げる。その試みとして、国際的な版画交流の黎明期に注目し、研究代表者(朝木)が所属する神奈川県立近代美術館において、1959年に開催された「スペインにいく現代日本版画展」を対象に、研究分担者(松田)と研究協力者(リカル・ブル)と新資料の調査を行い、同展を再検証する。
|