研究課題/領域番号 |
19K00148
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
朝山 奈津子 弘前大学, 教育学部, 准教授 (30535505)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
|
キーワード | 音楽史記述 / 楽派概念 / 新ドイツ派 / チャールズ・バーニー / フランツ・ブレンデル / グイド・アドラー / 19世紀 / G. アドラー / Ch. バーニー / 国民様式 / 19世紀後半の室内楽創作 / 19世紀後半の前衛音楽家による音楽祭 / 西洋音楽史 / 19世紀ドイツ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「室内楽」という語の概念史の試みである。 これまで音楽史書では、19世紀の室内楽はもっぱら古典主義的傾向の下にあると見なされてきた。しかし実のところ、19世紀の前衛派の「室内楽」はあまり顧みられてこなかった。 そこで本研究は、特に「新ドイツ派」の実践と音楽観に注目する。音楽雑誌の記述、大規模な新作発表会であった「全独音楽家協会 (ADMV) 音楽家年次集会」におけるコンサートやプログラムノートなどを調査対象として、「室内楽」の多様な取り組みを明らかにする。そこで改めて「室内楽」という概念の孕む問題を考え、これに代わる新たな、あるいはより詳細な枠組を見出すことを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究では、ADMVのTV第1回(1859)から第38回(1902)までの室内楽コンサートの全曲目をデータベース化し、傾向として、声楽、特に独唱歌曲が過半数を占めること、器楽作品の作曲家としては、ブラームスに次いでドレーゼケ、ベートーヴェン、ラッセンが多いが、多くの作品が時代を超えるレパートリーとして残っていないことが分かった。また、本研究を通じてはさらに、「新ドイツ派 Neudeutsche Schule」の命名の背景、とりわけ「派 Schule」のコンテクストと、「派」(日本語ではしばしば「楽派」)の語が音楽史記述に導入された経緯、およびその意味の変遷について明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の意義は、従来の音楽史記述の見直しに関わり、以下の通り大きく2点ある。 第一に、従来の音楽史において、ブラームスと「新ドイツ派」の関係は良好でなかったとされ、盛期ロマン主義の音楽美学が党派論争として語られる傾向があった。しかし、TVにおいてブラームスの作品が繰り返し取り上げられたことは、当時の音楽創作が実際には党派論争に収まりきらないものであることを示唆している。 第二に、「楽派」という語の意味の歴史的変遷を通じて、これまで曖昧に、あるいは恣意的に用いられてきたこの語が、音楽史記述のための概念であることが明確になった。
|