研究課題/領域番号 |
19K00154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 均 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (60510683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 対話的・協働的芸術 / 美的ネットワーク理論 / 社会的開放 / 芸術の美的体制 / 芸術の社会的機能 / 社会関与型芸術 / アートプロジェクト / 芸術の自律性 / 対話の美学 / 協働の芸術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、芸術の自律性をめぐる現代の論争的状況を代表する重要な議論として、ジャック・ランシエールによる「芸術の美的体制」の理論と、グラント・ケスターの「対話」と「協働」の美学を分析する。特に本研究では、両者が自らの議論を近代美学の歴史との関係においてどのように位置づけているのかに注目する。この分析を通じて、芸術の自律性と社会への関与とは、表面上は対立するが、実際には密接な関係にあること、また、ランシエールとケスターの理論は、論争関係にあるにもかかわらず共通点が見いだされることを示す。それに基づいて本研究は芸術の自律性の概念の新たなモデルを呈示し、美学史に位置づける。
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研究成果の概要 |
本研究はもともと、ジャック・ランシエールによる芸術の美的体制をめぐる議論と、グラント・ケスターによる対話的・協働的芸術実践をめぐる議論とを比較することを目的としていた。しかし研究過程のなかで、専門的な芸術家と非専門家との対話的・協働的芸術実践についての理論的洞察を深めるためには、むしろ現代英語圏における美的価値論をめぐる論争が重要であることを認識した。そのため、ドミニク・ロペスによる「美的ネットワーク理論」とニック・リグルの「社会的開放」の理論が、それぞれ、参加者による能力の交換や、通常の規範からの開放といった点で、対話的・協働的芸術実践においてとりわけ重要な価値を捉えていることを指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「アートプロジェクト」と呼ばれる芸術実践は日本各地で行われており、その特徴として、芸術の専門家と非専門家との持続的な対話と協働が挙げられる。そうした特徴には従来、美的な意義ではなく社会的な意義のみが認められてきた。しかし、本研究は、対話や協働の過程で人々がそれぞれの能力を持ち寄ること、また通常の生活で従っている規範から解放されることに、固有の美的な価値が認められると指摘した点で学術的・社会的意義を持つ。
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