研究課題/領域番号 |
19K00157
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
東 賢司 愛媛大学, 教育学部, 教授 (10264318)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 墓誌 / 墓誌銘 / 墓志蓋 / 篆書 / 楷書 / 北魏 / 隋 / 水運 / 墓誌蓋 / 北朝 / 墓誌蓋銘 / 篆額 / 北斉 / 洛陽 / 運河 / 南北朝 / 書法 |
研究開始時の研究の概要 |
中国北部では「南水北調」や「一帯一路」推進による土木工事により、石刻の新発見が相次いでいる。隋朝は石刻による新しい楷書書法が誕生した時期と言われるが、具体的な根拠はない。その理由としては、①南朝は資料がない、②北朝は伝承の経路が追えない、ためである。 本研究では墓誌蓋の「篆書」の書体に着目し、書法の伝播を可視化したい。書体が目まぐるしく変化する中、篆書は北朝から隋まで同じ構造の文字で書かれており、国を超えて共通性や相違性を追うことができる。それらを用い、①隋代書法の源流は「北魏」にあること、②書法の伝播が北魏→北齊→隋と行われ、それには水運が利用されていること、を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では墓誌蓋の篆書の書体に着目し書法の伝播を証明しようとした。特に墓誌蓋の流行が始まった北魏に着目し、篆書の墓誌蓋銘の中で同筆と思われる資料を分析した。結果として、墓誌蓋は同一の人物が揮毫したものがあると推定できた。また、北朝から隋の篆書の墓誌蓋銘には『説文解字』を参考に書かれているものがあり、これを標準的な作例とすることができた。一方、蓋銘が標準的であっても、その対となる墓誌銘の文字も標準的であるとは言えなかった。さらに、墓誌銘中の六言・四言の詩句を比較しグループ化を行った。語句の継承がされているが、書風の共通性は見いだせず、撰文と揮毫は別の仕組みで行われている可能性が明らかにできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本論は、現代社会まで繋がっている隋代楷書書法の伝播は北朝の特定の王朝で行われ、水運を利用して技法の伝播が行われたことを明らかにした。社会的なインパクトとしては、①墓誌蓋の変化に注目し、北魏を起点とし北斉、隋と、製作技術や書体の伝承が行われたこと、②北魏以降の華北平原では水運が発達し、石刻出土地と河川の位置関係から物理的に水運による移動が可能なことを証明した。また、学術的なインパクトとしては、南北朝末から隋代は既に「楷書」の時代であるが、篆書は長期間文字構造を変えることなく存在し、蓋石からは北朝から墓誌の技術が伝播したということが明らかにできた。
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