研究課題/領域番号 |
19K00161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
吉本 光宏 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80596833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アニメ / ポストモダニズム / サブカルチャー |
研究開始時の研究の概要 |
英語学術圏における日本アニメ研究はその比較的短い歴史にもかかわらず、多くの重要な成果をあげている。なぜ特定の作品が古典化され、特定のクリエーターが作家という特権的な地位を与えられるのか。なぜアニメ研究において「日本的なもの」が意味のある主題として受け入れられたり、逆に過剰な批判を受けたりするのか。これらの問いに答えるために、過去20年間に英語圏で出版されたアニメ研究書や学術論文を精査し、アニメ研究全体の中で作品批評が果たす役割や、批評の理論的骨格の歴史的変化を明らかにする。さらに日本のアニメ研究や批評との比較を通じて、より普遍的なアニメ作品研究の可能性を探っていく。
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研究成果の概要 |
英語圏におけるアニメ研究の歴史と現状、支配的な批評パラダイムの再検討を行うという英文研究書の原稿を七割近く書き終えた。原稿では三つの視点から英語圏アニメ研究を批判的に検討し、日本と英語圏という区別を超えた、新たなアニメ研究の必要性を論じている。第一に、「アニメ」概念の徹底的な再検討を行い、理論と歴史の両側面からこれまでにない大胆な再定義を試みている。第二に、表層的な皮相さに回収できない「ポストモダン」概念の重要性を確認し、その本格的な見直し作業を通じて、アニメの歴史性を詳らかにしている。第三に、「サブカルチャー」概念の徹底的な再検討を通じて、サブカルチャーとアニメの再文節化を試みている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
アニメの世界的な人気の高まりや商業的成功にともない、英語によるアニメ研究も学問的分野としてさらに成長し、多くの学術的論文や研究書が出版されている。しかし、英語圏のアカデミアの支配的なパラダイムや制度的文脈の中で流通している「アニメ」概念や歴史観、方法論には特有の傾向や偏りがあり、必ずしも大きな成果を挙げているとは言えない。英語圏アニメ研究の歴史と現状を批判的に再検討し、その成果を最終的に英文の学術書のかたちで発表するという本研究は、たんに研究対象を離れたところから観察するのではなく、英語圏の言説空間に直接介入し対話の回路を開く試みにとして大いに意義がある。
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