研究課題/領域番号 |
19K00162
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡室 美奈子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10221847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | サミュエル・ベケット / アルフレッド・ヒッチコック / 濱口竜介 / W・B・イェイツ / 『フィルム』 / 『裏窓』 / 『ドライブ・マイ・カー』 / 『窓ガラスの文字』 / ベケット / ヒッチコック / カメラ・アイ / 視線 / 脳の眼 / カメラアイ / 別役実 / 『カメラ・アイ』 / 「フィルム」 / 裏窓 / 映画の視線 / テレビドラマ / 映画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、サミュエル・ベケットの実験的な映画やテレビ作品と、アルフレッド・ヒッチコックのハリウッド映画およびテレビドラマを比較検討し、ベケットの映像作品がヒッチコックの影響下に創られた可能性を、視線と「フレーム」という観点から考察することを目的とする。 これまで両者の影響関係が考察の対象となることはほとんどなかったが、両者の映像作品を詳細に比較検討すると、視線に関する重要な共通点が浮上する。本研究では、ベケットがカメラの視線やフレームを通した窃視に関して、ヒッチコックから影響を受け、その技法を映画の脚本に応用し、さらにそれをテレビに移植し、独自の方法論へと昇華させた可能性を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究課題の目的は、サミュエル・ベケットとアルフレッド・ヒッチコックの映像作品を視線の構造という観点から比較検討することであった。 まずは、ベケット『フィルム』とヒッチコック『裏窓』に、睡眠と覚醒の狭間に到来する、主体的な意思や理性では制御されえぬ起源の曖昧なイメージや言葉が看取できることを明らかにしたが、コロナ禍により当初計画していた海外での調査研究が実施できなかったため研究対象を拡大し、上記の知見が濱口竜介の映画『ドライブ・マイ・カー』(2021)に継承されていること、ベケットの先達であるW・B・イェイツの思想や作品に源流を求められることを明らかにできたことは、大きな収穫であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
不条理演劇の旗手として登場し、数々の実験的な映像作品を生み出した孤高のノーベル賞作家サミュエル・ベケットと、ハリウッドで大衆的なサスペンス映画の巨匠として活躍したアルフレッド・ヒッチコックを結びつける研究はこれまでほとんどなされてこなかったが、本研究はベケットの映像作品がヒッチコックの影響下に書かれた可能性を明らかにするものであり、ベケットと大衆文化の関係に新たな視座を提供するものである。 また、睡眠と覚醒の狭間に、起源の曖昧な言葉やイメージが到来するというモチーフが濱口竜介の映画にも見出されることの発見は、ベケットを通じて現代文化を読み解きうる可能性を示した点でも画期的である。
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