研究課題/領域番号 |
19K00164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大愛 崇晴 同志社大学, 文学部, 教授 (70587980)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 音楽理論 / タルティーニ / ピュタゴラス / 西洋音楽史 / 啓蒙主義 |
研究開始時の研究の概要 |
ルネサンス期までの西洋の音楽理論は、協和音と数比の神秘的な関係を中心的な主題としてきたが、18世紀の啓蒙主義と経験主義的物理学の台頭とともに、従来の思弁的な性格を脱したと言われる。他方で、18世紀イタリアの音楽家タルティーニ(1692~1770)の理論的著作は、そうした音楽理論の「近代化」に逆行していることが指摘されている。本研究は、タルティーニが活躍した北イタリアの都市パドヴァの学問的環境や、同時代のフランス百科全書派の音楽理論観との関係から、なぜ彼があえて反主流の立場を取ったのかを、思想史的な側面から解明する。
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研究成果の概要 |
18世紀のヴァイオリン奏者・作曲家ジュゼッペ・タルティーニの理論的主著『和声の真の知識に基づく音楽論』(1754)第5章を分析した。彼は古代ギリシア音楽と同種の諸性質を当代の民謡に見出し、それらを「自然」という普遍的な観念に根拠づけている。ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に着想を得た〈タッソのアリア〉は、タルティーニが古代音楽に見出す「自然」の原理を作曲実践において反映させたものと考えられる。また、タルティーニと交友関係にあった貴族ジャンリナルド・カルリの古代音楽観についても検討し、両者において古代音楽は純粋な理想であり、同時代の創作や評価の基準として機能していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国内ではこれまでほとんど研究対象とされてこなかったタルティーニの理論的著作を精査すること自体が芸術学分野で大きな学術的意義を有することは明らかである。また、本研究の成果により18世紀における古代音楽に関する理解や表象の一端が明らかになったという点で、西洋音楽史のみならずヨーロッパ文化史全体の知見の向上に一定の寄与ができたと考えられる。さらに、過去の歴史観を実証的な方法によりメタ的な視点で捉えることは、現代の私たち自身の歴史観を振り返る契機にもなりうるという点で、社会的意義も小さくない。
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