研究課題/領域番号 |
19K00171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
片山 まび 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (80393312)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 倭館 / 陶磁器 / 朝鮮 / 肥前磁器 / 朝鮮陶磁 / 日本陶磁(肥前) / 日朝関係 / 高麗茶碗 / 日本陶磁 / 日朝交流 |
研究開始時の研究の概要 |
15世紀から19世紀の長きにわたって朝鮮王朝における日本人の居留地であった倭館は、日本の文物の流入口でもあった。本研究は、それらのなかでも陶磁器を対象とし、従来の「朝鮮→日本」という一方通行ではなく、「朝鮮⇔日本」という双方向的な視点をもとに、研究成果がきわめて少ない倭館を経由した日本陶磁、もしくは倭館を経由した中国陶磁の具体的な流通と影響を考察するものである。本研究の意義は、昨今、多文化的視点から語られはじめた韓国工芸史研究によりいっそう具体的な成果を提供し、両国の陶磁器の相互理解に寄与することにある。
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研究成果の概要 |
草梁倭館に関連する陶磁器研究は文献が主とされ、考古学・美術史研究は乏しい状況にあった。申請者は平成30年に釜山博物館文化財調査チームとともに船滄付近の一角を調査、多数の日本陶磁や倭館窯の陶片を発見し、まず考古学の手法により報告書を完成した。次に倭館での陶磁器交易の実態について、文献研究の成果にもとづき訳官の仲介的な役割について明らかとした。最後に美術史の手法により、朝鮮青花の様式は清朝磁器と日本陶磁と朝鮮王朝の嗜好が「交錯」するなかで醸成され、日本陶磁からの「影響」という言葉では語りきれないことを明らかとした。このほか訳官が注文に関わった判事茶碗と朝鮮地方窯への影響について指摘した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究成果の学術的意義;①倭館の考古学調査報告の完成、②①により記録でのみ知られていた倭館における対馬人の暮らしを明らかとしたこと、③対馬ー倭館ー漢陽(現在・ソウル)と連なる日本陶磁の流通を解明したこと、④③において訳官の役割と重要性を指摘したこと、⑤朝鮮時代の青花は③により流入した日本陶磁の影響のみならず、朝鮮王朝の嗜好や清朝磁器の影響など複合的な背景を持つこと、⑥倭館での陶磁器生産が地方窯にも影響を及ぼしたこと。研究の社会的意義:倭館を経由して大量な日本の文物が朝鮮王朝に流入していることを証明し、韓国の有力紙である『東亜日報』からの取材を受けるなど、市民にも知識を還元することができた。
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