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カモフラージュから見た芸術/軍事/イデオロギーの総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00179
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01060:美術史関連
研究機関日本女子大学

研究代表者

河本 真理  日本女子大学, 国際文化学部, 教授 (10454539)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードカモフラージュ / 第一次世界大戦 / 第二次世界大戦 / パブロ・ピカソ / アンドレ・マール / セラミック(陶器) / ダズル迷彩 / アボット・ハンダーソン・セイヤー / シュルレアリスム / ローランド・ペンローズ / リー・ミラー / キュビスム / ヴォーティシズム / 世界大戦
研究開始時の研究の概要

カモフラージュは、自然界に存在する「擬態」に想を得て、敵の目から対象を隠し、敵の目を欺く技術である。敵の飛行機および航空写真から自軍の装備が見分けられないようにするという現代戦のカモフラージュが開発されたのは、第一次世界大戦中であり、それにキュビスムやヴォーティシズムの画家が関わった。
本研究では、カモフラージュを通して、芸術(美術・建築)/生物学/軍事/イデオロギーの関係を領域横断的に考察する。研究の対象とする時代は、第一次世界大戦から第二次世界大戦(後)にまで広げ、地域も西洋(フランス・イギリス・ドイツ・アメリカ)だけではなく、日本のカモフラージュの受容も射程に入れる。

研究実績の概要

令和5(2023)年度は、2023年10月から国立西洋美術館で開催された『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展――美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』の展覧会カタログに、「キュビスムと第一次世界大戦」と題して寄稿し、その中でカモフラージュについて論じた。この展覧会は、日本で50年ぶりに開催された大規模なキュビスム展で、年代的には19世紀のポール・セザンヌ、ポール・ゴーガン、アンリ・ルソーから1920年代のピュリスムまでカバーし、ピカソやブラックのみならず、サロン・キュビストやロシア・東欧の芸術家、女性芸術家まで幅広く取り上げた重要な展覧会である。
第一次世界大戦では、兵器の破壊度が飛躍的に高まるのにともない、戦術に根本的な変化がもたらされた。「見えなくする」「見分けられなくする」ということが戦術の基本となり、敵の飛行機、とりわけ航空偵察写真から自軍の装備や位置が見分けられないようにする、カモフラージュの開発が急務となったのである。1915年にカモフラージュ部隊を発足させたフランスでは、キュビスムやその周辺の画家――ジャック・ヴィヨン、アンドレ・マール、ロジェ・ド・ラ・フレネー、アンドレ・ロートら――が、カモフラージュ部隊に登用された。カモフラージュに用いられた迷彩模様が、対象の輪郭を破断させることで、その形態を破壊し、図と地の関係を攪乱するという点において、対象を解体・断片化するキュビスム絵画と構造上類似しており、キュビストがカモフラージュに適していると考えられたからである。アンドレ・マールが大戦時に画帖に描きとめた、迷彩を施した《280ミリ砲》は、それを如実に示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5(2023)年度は、新型コロナウイルス感染症禍の状況は落ち着き始めたが、それでも完全に収束とはいかず、また本務校の役職に就いて業務量が増大したことから、予定していた海外渡航を取り止めざるを得なくなった。
『パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展――美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ』の展覧会カタログへの寄稿以外には、令和4(2022)年度に研究を進めた、ピカソとカモフラージュの関係について、ヨックモックミュージアムで「ピカソのセラミック――モダンに触れる」と題して特別講演会を行った。
『西洋美術研究』No. 21の「特集:美術とテクネー」に合わせて投稿した論文「カモフラージュ:美術/生物学の交差する戦線」が、令和3(2021)年の査読を経て、掲載されることが決定している。諸般の事情で刊行が遅れているが、初校の校正が済んだところで、2024年中には刊行される予定である。
このように、今までの研究成果の一部をまとめたが、カバーしきれなかった部分もあったことは否めない。したがって、全体としては、(3)やや遅れていると判断する。

今後の研究の推進方策

令和5(2023)年度は、新型コロナウイルス感染症禍等のため、予定していた海外渡航を取り止めざるを得ず、研究期間を1年延長した。令和6(2024)年度には、2024年秋にパリで開催されるInternational Society for the Study of Surrealism (ISSS)に参加し、シュルレアリスムとカモフラージュについて発表する予定である。この発表を含め、今までの研究成果をまとめることに注力する。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] カモフラージュ:美術/生物学の交差する戦線2022

    • 著者名/発表者名
      河本真理
    • 雑誌名

      西洋美術研究

      巻: 21

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 前衛/古典主義/プリミティヴィズム―両大戦間期の美術の問題系をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      河本真理
    • 雑誌名

      『古典主義再考II 前衛美術と「古典」』(松井裕美/木俣元一編、中央公論美術出版)

      巻: 2 ページ: 87-126

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 〈岐路〉に立つ仏独の芸術家―第二次世界大戦時のフランスにおけるコラボラシオンと収容2019

    • 著者名/発表者名
      河本真理
    • 学会等名
      国際シンポジウム「第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相」(日仏美術学会主催)
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ2023

    • 著者名/発表者名
      ブリジット・レアル, 田中正之, シルヴィ・パトリ, 柳沢史明, エレーヌ・ジュベール, 松浦寿夫, 久保田有寿, クリスティアン・ブリアン, 松井裕美, 天野知香, ソフィー・クレップス, ジャン=クロード・マルカデ, 河本真理, 村上博哉, マクシミリアン・タインハルト, 中山摩衣子, アリアヌ・クーロンドル, 杉本渚, 由良茉委
    • 総ページ数
      331
    • 出版者
      国立西洋美術館; 京都市美術館; 日本経済新聞社; Musee national d'art moderne (France)
    • ISBN
      9784907243265
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] ピカソのセラミック―モダンに触れる Picasso Ceramics : The Modern Touch2022

    • 著者名/発表者名
      河本真理(編著)、福永愛
    • 総ページ数
      96
    • 出版者
      ヨックモックミュージアム
    • ISBN
      9784991156922
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 戦争と文化―第二次世界大戦期のフランスをめぐる芸術の位相2022

    • 著者名/発表者名
      大久保恭子(編)、レミ・ラブリュス、河本真理、松井裕美、山本友紀、礒谷有亮
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      三元社
    • ISBN
      9784883035519
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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