研究課題/領域番号 |
19K00183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
大西 磨希子 佛教大学, 仏教学部, 教授 (00413930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 則天武后 / 武則天 / 棺槨形舎利容器 / 法門寺真身舎利 / 大雲経疏 / 敦煌壁画 / 舎利 / 法門寺 / 衆生 / 供養者 / 弥勒下生変 / 朝集使 / 五月一日経 / 宝雨経 / 弥勒変相図 / 明堂 / 封禅 / 儀鳳 / 涅槃変相図 / 涅槃変相 / 敦煌 |
研究開始時の研究の概要 |
中国史上唯一の女性皇帝となった則天武后は、革命に仏教を利用した。敦煌写本の『大雲経疏』はその仏教利用の実態を示す貴重な史料である。一方、則天武后が仏教美術に与えた影響については、いまだ明らかになっていない部分が多い。なかでも釈迦の涅槃をあらわした涅槃変相図は、当該期において、横臥する釈迦と会衆のみを描いた単純な構図から、荼毘や分舎利に至る複数の場面を含んだものへと大きく変化するが、その理由についてはいまだ判然としない。 そこで本研究では、敦煌写本『大雲経疏』を調査し、則天文字の使用状況にもとづく底本の書写年代の解明と内容の読解を試み、そのうえで当該期に涅槃変相図が大きく変容する理由を検討する。
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研究実績の概要 |
最終年度にあたる2023年度は、(1)棺槨形舎利容器、(2)唐代弥勒変相図、(3)敦煌唐代壁画の時代区分について研究を行った。(1)では、則天武后による「金棺銀槨」創始について、法門寺真身舎利に関する『法苑珠林』の記載を検討した結果を中国語にまとめ、台湾の学会において口頭発表を行った。(2)は、従来の研究では上生経変か下生経変か、あるいはその結合したものか、というところに議論が集中し、時代的変遷については未着手の状態にあったが、画面形式や細部の図像表現に着目することによって、武周期を中心に前後三期に分けられることを明らかにした。(3)は、敦煌唐代壁画の画期を敦煌の吐蕃陥落時に置いていた従来の見解に疑問を呈し、敦煌壁画の画期の問題を再考した。さらに、こうした弥勒変相図の変遷に加え、西方浄土変とそれに付属する十六観図の変遷をみることによって、唐代変相図が則天武后期(皇后時代から武周期まで)に絵画的に大きな発展を遂げていた事実を新たに浮かび上がらせることができた。 研究期間全体を振り返ると、当初の研究計画において研究の二つの柱として想定していたのは、『大雲経疏』と涅槃変相図の調査研究であった。そのうち涅槃変相図については、中国での現地調査が実施できない状況に置かれたため、成果を出すことができなかった。しかし、『大雲経疏』については、大英図書館において敦煌写本S.2658とS.6502を実見調査し、とくに明堂と嵩山封禅の記事に着眼した研究成果をまとめることができた。また、当初の計画には入れていなかった則天武后と棺槨形舎利容器との関係に関して、儀鳳年間に参与した舎利頒布事業も含めて検討し、複数の新知見を得ることができた。
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