研究課題/領域番号 |
19K00193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
宮下 規久朗 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (30283849)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 幻視 / 顕現 / カトリック改革 / 聖母 / バロック / エクス・ヴォート / 法悦 / フィリピン / 聖母図像 / イコン / ペスト / 疫病 / 祭壇画 / ネーデルラント絵画 / カラヴァッジョ / 召命 / 宗教改革 |
研究開始時の研究の概要 |
16世紀に始まるカトリック改革では、プロテスタントの否定した教義を再確認し、強化すべく、多くの主題が流行したが、中でも幻視(ヴィジョン)という主題は、17世紀のヨーロッパ各地できわめて重要な主題となった。イタリアに始まり、スペインで全盛を見てフランドルで版画家されて世界中に伝播したが、その過程については研究されてこなかった。また、民衆が神に感謝を捧げるために教会に奉納するエクス・ヴォートは、基本的に幻視画のスタイルをとっている。本研究では、カトリック改革によっていかにして幻視表現が生み出され、それが普及して非西洋や民衆的な画像に及んだかについて調査し、研究する。
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研究成果の概要 |
16世紀に始まるカトリック改革によって幻視(ヴィジョン)という主題はきわめて重要な主題となった。幻視と鏡合わせとなるのが顕現であり、聖なる存在の顕現と、それを見る幻視者との組み合わせで構成された幻視絵画は、イタリアに始まり、スペインで全盛を見てフランドルで版画家されて世界中に伝播した。また、民衆が教会に奉納するエクス・ヴォートは、基本的に幻視絵画のスタイルをとっていた。本研究において、幻視と顕現の中心であった聖母の様々な図像や美術史的な意味を考えた『聖母の美術全史』(筑摩書房)、さらに植民地にまで広がった幻視絵画の展開や意味を追った『バロック美術』(中央公論新社)やいくつかの論文を上梓した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2021年6月に上梓した『聖母の美術全史―信仰を育んだイメージ』(筑摩書房)は、従来宗教学や美術史の各時代ごとに論じられていた聖母マリアについて、カトリック改革期を中心に現代にまで及ぶその意義や機能を総合的に考えた初の書物であり、2023年10月に上梓した『バロック美術―西洋文化の爛熟』(中央公論新社)は、カトリック改革によってローマで始まった幻視などの主題が西洋中に広がり、中南米などの植民地や東欧・ロシアに伝播した様態を追ったもので、総合的な視点によってバロック美術の全貌を概観した。いずれの本も広く読まれ、日本ではきちんと知られていない聖母やバロックの美術について啓蒙普及することができた。
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