研究課題/領域番号 |
19K00196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
山上 紀子 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (40805529)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オディロン・ルドン / 美術史 / 19世紀 / フランス / 出現 / ジャポニスム / 図像 / エドガー・アラン・ポー / 西洋美術史 / 図像解釈 / 死生観 / 1868年のサロン / 聖アントワーヌの誘惑 / ゴブラン / 装飾 / 花 / サロン批評 |
研究開始時の研究の概要 |
ルドンの作品に描かれた図像ならびに物質的側面にもかかわる表象行為のあらゆる痕跡を、徹底的な観察と画家の手稿を含む一次史料と同時代の刊行物を用いて分析し、それがどのように描かれたかを探り、その不明瞭さが喚起する非決定的な態度の要因を探る。 主たる内容は、1)意味の解明は不可能とされてきたルドン作品のなかに社会現象の描写を読み取り、同時代のフランス人に共有されていた世界観、歴史観の複雑なありようをそのまま明るみに出す美術の意義を問うこと。2)ルドン作品におけるジャポニスムについて、ルドンの芸術形成の過程と後世への影響の二側面から検討し、東西の美術交流が芸術創造にもたらした意義を問うことである。
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研究成果の概要 |
本研究は、オディロン・ルドン(1840-1916)の作品を下がきの跡や擦れや滲みも含めて仔細に観察し、重層的な図像の源泉と独特の手法を一次資料や科学雑誌などの文献を用いて分析した。不明瞭さが喚起する非決定的な態度のなかに、同時代のフランス人に共有されていた世界観の複雑な本質を明るみに出す美術の意義を問うた。 モローの影響が指摘されてきた《出現》(1883年)には、従軍や病などの体験、処刑制度や奴隷制にかかわる議論の反映が確認できた。《蜘蛛》(1881年)は植物学や文学など多岐にわたる源泉をもち、見る者に応じて多様な象徴性を獲得した。水木しげるを通じて日本と密接なつながりをもったことも示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
根本的な解釈が不可能とされてきたルドンの作品を丹念に調査し、徹底的な観察と豊富な資料の検討により、画家が参照した着想源を明らかにするだけでなく、画家も意識していなかった多様な源泉を指摘した。ルドン芸術を同時代の社会や日本美術を含む多様な文化との相互作用の産物として捉え直し、時代の表象という新視点を実証的に提示した。
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