研究課題/領域番号 |
19K00207
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 (2022-2023) 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 (2019-2021) |
研究代表者 |
伊藤 信二 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 課長 (00443622)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 金属製幡 / 金銅幡 / 玉幡 / 灌頂道具 / 幡 / 荘厳具 |
研究開始時の研究の概要 |
研究期間の1~2年目は、金属製幡およびこれを含む灌頂道具の実見調査(過去に調査実績のある資料/過去に調査実績のない資料)を実施するとともに、調査によって得られたデータ整理と分析を行う。研究機関の3年目は、研究実施中に得られた所在情報に基づく新出資料の実見調査、データ整理と分析を実施する。また最終年度として、調査によって得られたデータ整理と分析を行い全体総括する。 なお実見調査によって、ア)資料の基本データの取得(材質・形状・構造・技法・加飾・銘文・保存状態・付属品)/イ)資料の画像データの取得(全部・部分・銘文・付属品)/ウ)関連資料の取得(文書記録・口承伝承・儀礼行事)を実施する。
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研究成果の概要 |
本研究は金属製幡、特に「玉幡」と称される一群の作例について、真言密教における灌頂儀礼の道具という観点から調査と考察を行ったものであり、参考作品も含めて20件の作例を対象として取り上げた。このうち10件は真言の灌頂儀礼において用いられたことが判明し、あるいは伝来の状況からその可能性が高いと判断された。この場合2点で1セット、つまり一対をなし、また玉幡を懸ける龍頭と竿一対が同じ箱に同梱していたり、付属として伝わっていることが多い。 一方で玉幡の名称や定義を有しながらも天台寺院に伝来した作例や天蓋の四隅に懸垂する作例も見出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
金属製の幡は国宝や重要文化財、正倉院宝物などを除き注目されることが少なかった。同種の幡の中で特に「玉幡」と呼ばれる一群について、多くが真言密教の灌頂儀礼に用いられる道具類の中に見出されることに着目し調査研究を行った。その結果従来未発表の作例を複数例見出すことができた。またそれらを含む灌頂道具類が、ある地域において真言密教の中核的な役割を担っていたと思われる寺院に伝わる点も注目され、その伝来は地域における真言寺院の位相を示す物証ともいえる。一方で玉幡と称され、あるいは形式上その定義を満たす作例でも真言の灌頂に関係しないものもあり、その用途は幡の本来的な機能すなわち荘厳であると推測された。
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