研究課題/領域番号 |
19K00208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(学芸部) |
研究代表者 |
内田 篤呉 公益財団法人岡田茂吉美術文化財団(学芸部), 学芸部, 館長、業務執行理事 (00426438)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 環南シナ海インド洋 / ヤコウガイ / ベトナム螺鈿 / タイ螺鈿 / 同位体分析 / 木地螺鈿 / ストロンチウム / ネオジム / 環シナ・インド洋海域 / 琉球螺鈿 / 夜光貝 / 螺鈿文化圏 / シェルロード / インド・ポルトガル美術 / 螺鈿 / 螺鈿工芸 / 漆芸 / 環南シナ海 / インド洋海域 |
研究開始時の研究の概要 |
近世日本から西欧にもたらされた輸出漆器の研究は、日本と西欧諸国の二元的方向性で捉えた交流史が多く、日本と西洋の中間に広がる地域は注意が払われてこなかった。本研究は多文化的な要素を体現していると考えられ、日本からヨーロッパへの航海路上の多くの地点で作品を見出すことができる螺鈿工芸に焦点を当てる。螺鈿の伝播と貝の交易という具体的な事案を通して、環シナ・インド洋海域を包摂する広大なの螺鈿文化圏を仮設的に設定し、その海域における近世螺鈿の諸相と貝文化圏の生成のプロセスを解明する。そのために東西交流の中間点に位置するタイ・ベトナム・インドに限定して螺鈿作品の調査と技法の復元的調査を進める。
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研究成果の概要 |
沖縄、ハノイ、フエ、ホーチミン、フーコック島、バンコク、アユタヤ、プーケット島の螺鈿技法及び素材の調査、ベトナム古文書、ヤコウガイの科学調査を実施。その成果はベトナムのA・ヴァン博士と共著「ベトナム・フエ宮廷古物博物館所蔵の螺鈿作品」、タイ・サイアム大学教授・高田知仁著「一八世紀タイ国の寺院扉における説話と螺鈿文様」を学会誌『漆工史』第45号(2023)に発表。文献調査はベトナム螺鈿の起源を通説の15世紀から11世紀に遡る史料(テキストクリニック中)の採録、同海域で採取したヤコウガイ貝殻の科学分析の結果、生息海域別のグループ化が可能であり、Nd同位体比の科学分析調査を準備している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ベトナム螺鈿の研究は未成熟の状況で、制作年代の判明する基準作も知られていない。フエ宮廷古物博物館蔵の螺鈿寝台は阮王朝紹治帝が宮廷で使用し、黒漆地螺鈿を木地螺鈿に改変した新知見を得た。この作品はベトナム螺鈿史を構築する上で編年の基準となり、ベトナムの木地螺鈿がはじめから木地に貝を埋め込んだという通説を否定した。ヤコウガイ貝殻の微量元素の科学分析は産地の差異を推定できる可能性を見出した。さらにアサリの産地偽装を解明したNd同位体比の手法で、ヤコウガイ貝殻の科学分析による産地同定法の開発に着手し、美術史では解明できない作品の制作地を科学調査で解明する手法を開発している。
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