研究課題/領域番号 |
19K00209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
中野 朋子 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 主任学芸員 (00300971)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 藪明山 / 輸出工芸 / 薩摩焼 / 上絵付 / 技術革新 / 銅版 / 輸出商会設立 / 藪 明山 / 近代工芸 / 絵付技術の革新 / 工芸家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治期に全国で製作された「薩摩焼」のうち、大阪の藪明山によって製作された大阪薩摩を研究の中心に据え、(1)藪明山工房における薩摩焼上絵付技法の実態解明を試みるとともに、(2)本薩摩を含む他産地で薩摩焼の製作を手がけた工房との比較検討を行うことによって、藪明山工房の運営実態と「工芸家」として藪明山が果たした役割について検討し、(3)国際的な「薩摩焼(SATSUMA)」の流通構造と明治期の「工芸家」と工房の在り方について再検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、明治期の大阪で薩摩焼上絵付工房を経営した藪明山による「薩摩焼」の上絵付技術の改良・革新について探究し、世界を席巻した「SATSUMA」(薩摩焼)製作工房のなかにあって、その卓越した絵付技術から近代日本の薩摩焼を代表する工芸家として世界で認識された藪明山(YABU MEIZAN)の果たした役割について探究するとともに、その工房経営の在り方について実態を解明することを目指している。 研究の5年目は前年度までの調査を踏まえ、大阪歴史博物館所蔵の藪明山作品(大歴博作品と呼ぶ)ならびにその関連資料の悉皆調査、そして文書の翻刻内容の再検討によって、工房主・藪明山が果たすべき役割について探究した。同時に、明山が生前、自身の経歴として公表していた「明山藪履歴書」に記されていない明治13年(1880)4月以前の経歴を明らかにするべく調査を重ねた。 その結果、明山が大阪で薩摩焼上絵付工房を経営する契機となったと考えられる職歴と人間関係を解き明かす端緒を掴むことができた。また、翻刻の分析からは、明治20年代後半に藪明山を中心として結成されたとおぼしき「美術品商会」なる会社の存在を把握し『大阪歴史博物館研究紀要』第22号においてその存在を初めて公表することを得た。さらには、昨年度までの調査結果をもとに大歴博所蔵の藪明山作品の製作時期について再整理と明確化を進めるとともに、藪家旧蔵(現在は大歴博所蔵)の書画資料群と明山工房の薩摩焼作品との関わり等について詳細に検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ2019の影響により、在外作品の所蔵確認が難しいなかで、国内、なかでも大阪における作品ならびに関連調査の実施へと調査の方向性を改めるにいたり、研究開始時点で予定されていた研究の方向性との間に相違が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は研究を総括し報告書作成をおこなう。研究の総括にあたっては、以下の点に留意しつつ進めていく。 ・助成期間における藪家伝来文書やその他の作品の再評価ならびに調査研究の成果をもとに明山作品の編年を再構築する。 ・明山自身の経歴ならびにその人間関係を精査することで明山が薩摩焼上絵付工房を運営するに至る端緒ならびに同工房における明山の役割を明確化して、明山工房の経営実態を明らかにする。 ・工房製品の販路確保に関連する「美術品商会」設立などの明山の試みについて調査を行い、明山作品を初めとする大阪の工芸作品の流通にも焦点をあてる。
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