研究課題/領域番号 |
19K00234
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
|
研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
樋上 千寿 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30608740)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 東欧ユダヤ教 / イディッシュ / ハスカラ / クレズマー音楽 / シュテットル / 舞踏とジェスチャー |
研究開始時の研究の概要 |
イディッシュ音楽固有の表現法の本質的理解を進めるため、カントール音楽(ユダヤ教聖歌)を始めとする伝統音楽や、イディッシュ・ダンスとクレズマー音楽の表現上の特徴を分析し、その特質を明らかにする。 この分野で先進的な欧米から専門家を招聘し、ワークショップや演奏会を通して理解を共有するための拠点を国内に形成する。 また研究代表者が海外のワークショップに参加し、欧米の研究者や演奏家らと交流し、先端的な情報収集と意見交換を行う。国内で定期的に研究会を開催し、これらの情報の共有を図る。 国内で所蔵の少ないイディッシュ語圏の芸術文化に関する研究資料の収集と読解を進める。
|
研究実績の概要 |
10月25日に、京都文化博物館別館ホールにて、東欧ユダヤ音楽クレズマー演奏会「ウクライナのクレズマー」を催した。当公演では、20世紀初頭に民俗学者のズスマン・キセルゴフが白ロシアのシュテットルでのフィールド調査で収集したクレズマー音楽の中から当時インフォーマントとして調査に協力したクレズマー楽師コメディエント・モイセイ・ゲルシュコヴィチから提供された約150曲の楽曲の中から結婚式で実際に演奏されていた13曲を厳選し、各楽曲が演奏された場面とその意味について分析した成果を生演奏と共に紹介し、聴衆と共有することが出来た。 2月23日には、米国からイディッシュ・ヴァイオリンの世界的演奏家で作曲家のスティーヴン・グリーンマン氏を招聘し、彼が2018年に作曲した「ソロ・ヴァイオリンとオーケストラのためのクレズマー・コンサート組曲」全18曲を両国のシアターカイにて日本を代表するプロ演奏家ら7名による編成で日本初演した。この組曲はシュテットルでの結婚式の各場面で演奏される楽曲(ドブラノチュ、ホーシドル、フレイラハスなど)を、伝統的な形式をベースに、グリーンマン氏自身が創作したものである。2日間のリハーサルでは結婚式を彩ったイディッシュ音楽の特徴について共演者と情報共有を行いつつ理解を深めた。本番では110名の聴衆が参加し、楽曲解説と実際の演奏を提供した。終演後の質疑では熱心な質問が相次ぎ、グリーンマン氏や出演者らが約1時間にわたり応答した。 2月24~26日にはシアターカイにてグリーンマン氏と吉田佐由美氏による東欧ユダヤ音楽ワークショップを開催し、16名が参加した。クレズマー音楽とイディッシュ・ダンスに関する充実した授業を行い、最終日には参加者による発表会で学習した楽曲やダンスを公開発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、7~8月に予定していた海外調査は中止としたため、海外研究者らとの意見交換や情報収集はできなかった。 10月下旬には京都市内で演奏を含む成果発表を行ったが、依然としてコロナ禍の影響があり、参加人数が伸びなかった。 コロナ禍がやや収束した2月に、2年延期となっていたスティーヴン・グリーンマン氏の招聘がようやく実現し、前述の演奏会とワークショップを開催し、遅ればせながらもイディッシュ音楽文化の情報共有と理解の促進ができたことは評価できる。 コロナ禍による2年間の遅れの影響は依然としてあり、次年度での巻き返しが期待される。
|
今後の研究の推進方策 |
当該研究課題の期間延長申請が承認されたため、2023年度に遅延分の課題促進を図る。 政府による海外渡航の制限はほぼ撤廃されているが、海外情勢の不安定化により、渡航費が高騰しているため、次年度の海外調査は行われない可能性がある。そのため今後もしばらくはリモートによる情報交換を継続しつつ最新の研究成果にアクセスすることに努める。 当初の最終年度(2022年度)に実施予定であった、第6回東欧ユダヤ音楽ワークショップと演奏会を、ドイツからアラン・バーン博士らを招聘して行う。 東京都内および京都市内にて、研究成果発表の機会を持つ。また、引き続き文献資料と視聴覚資料を収集し、その読み込みと分析を進める。
|