研究課題/領域番号 |
19K00242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長嶋 由紀子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (80468850)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 文化政策 / 文化観光 / 文化資源 / 内発的発展 / 芸術文化教育 / フランス / 地方創生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランスにおける文化観光の歴史と現在の推進体制を、地域文化政策の一環とみる立場から明らかにする。 市民の活動に支えられて地域の文化的価値を来訪者に伝えてきた観光振興組織、自治体の文化政策によって地域の魅力を創出している芸術創造活動の集積など、過去の経緯を踏まえたうえで、近年の地方制度改革で変化する国と自治体の文化観光振興政策に焦点をあて、広域的かつ分野横断的な協同のしくみづくりの進行とその成果を分析する。
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研究実績の概要 |
本課題は、フランスにおける文化観光の現状分析を切り口に、地域文化資源に立脚した内発的発展を促す文化政策のあり方を明らかにすることを目的としている。交付申請時には、過去の文化政策により実現された地方都市の芸術文化環境が外来者を惹きつけ文化観光が活発化している事例の分析を計画していたが、コロナ禍以後のフランスで、地域文化政策と文化観光をめぐる状況は変化した。 社会の持続可能性がより切実に意識される中、地域文化政策は、地域文化資源の価値づけによるシヴィック・プライド醸成、若年者のエンパワメント(自律性促進や能力開花)、エコロジー移行などに軸足を置くようになり、文化観光の拡大は、それ自体を目的とするよりも、むしろ地域社会の持続的発展を促す複合的な文化政策を推進する一要因として捉えられる傾向がある。そこで本研究は、ポストコロナの地域文化政策理念が反映される事例に着目し、文化観光拡大の契機を捉えて地域社会の持続的発展を志向する文化政策を長期的に発展させるとりくみを明らかにする方針をとり、2023年度はおもに以下の成果を得た。 1)中央政府公式見解、報道記事、フランス国内の文化政策研究機関発信情報などの継続的分析から、国と自治体の文化政策の最新動向を明らかにした。 2)2022年に開始した国の新制度「フランス文化首都」は、構想当初は文化観光拡大を主目的としていたが、コロナ期の地方議員間協議で策定された選考基準では、国と自治体が共有する文化政策方針が示され、文化観光は前面に出なくなった。今年度は、新制度の主眼と現地調査(ヴィルルバンヌ)で明らかになった実施実態をまとめた論考を発表した。 3)上述新制度や文化施設新設による文化観光の拡大を機に、芸術文化教育やエコロジー移行における革新的なとりくみを進める地方都市の事例を現地調査し、得られた情報を分析中である(次年度発表予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で当初計画を大幅に見直す必要が生じ、研究方針を転換した。2019年度(初年度)末以後、国内で入手可能な文献情報のみで研究を進めたが、2022年度末及び23年度末にフランス調査を実施できた。地域文化政策と文化観光の現在進行形の実態に触れ、以後はおおむね順調に現地で収集した情報に基づく研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、前年度に発表した論考に続き、地方都市の歴史的文脈の中に文化観光拡大の契機を位置づけて、その後の変容と実現方法を分析することにより、地域文化資源に立脚した内発的発展を促す地域文化政策をより俯瞰的かつ具体的に示す。
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