研究課題/領域番号 |
19K00260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 昭和音楽大学 |
研究代表者 |
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
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研究分担者 |
袴田 麻祐子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 研究員 (40535548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 芸術文化支援 / アーツカウンシル / 戦略的投資 / 舞台芸術政策 / 舞台芸術制作 / オペラ / 市民 / 評価 / 助成制度 / アーツカウンシル制度 / 芸術文化助成 / 助成組織の運営 / 評価システム / 芸術文化振興 / 芸術文化団体の運営 / 芸術関連組織の運営 / レジリエンス / 波及効果 / 創造活動 |
研究開始時の研究の概要 |
アーツカウンシル・イングランド(以下、ACE)の制度運用の手法研究を通じ、芸術団体の創造活動の自律性を高め、かつレジリエンスを獲得させるための助成制度のありかたを、その制度設計や運用、体制、さらに芸術団体との関わり等から明らかにする。芸術団体の多くは、活動資金を公的助成に依存する傾向が強い。ACEは、各組織の創造活動を尊重する一方で、活動継続のためにリスク軽減策の提示を義務化し、組織の運営体制や企画決定の各プロセスの開示も求め、公的助成を受けることに対する社会への説明責任を果たすことを促している。これらを実現する具体的な手法を明らかにし、助成に携わる人材像にも注目することが本研究の特徴を成す。
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研究実績の概要 |
本研究は、英国内のアーツカウンシルの中でも、アーツカウンシル・イングランド(以下、ACE)の制度を研究の中心に据えたものである。ACEの助成制度において、いかにして芸術団体の創造活動のレジリエンスを獲得させるのか、その背景となる考え方に加えて、実際の助成制度設計と運用のありかたの検証を研究課題としてきた。具体的には、ACEによる1種類の団体助成と2種類の事業助成それぞれについて、目標の設定、助成金額、期間、対象となる組織等の制度設計を確認、その意図の分析と芸術団体の創造活動の関係性とを導き出すケーススタディを、複数実施した。助成事業の分析により、被助成団体側の収入構造や収入源の変化と対応状況の把握につなげた。 また、被助成団体との関係性を構築するためのACEの体制と人材育成、さらに助成側と被助成側の間での人材の流動性の検討も、本研究の重要な視点とした。 研究代表者(石田)は、単著『芸術文化助成の考え方』(美学出版、2021年)で、イングランドのアーツカウンシル制度研究を通じた芸術文化支援研究の成果をあげたと考える。 研究分担者(袴田)も学会発表や論文発表により、特に助成を受けた組織における具体的な評価のあり方に関する調査成果を公表してきた。 加えて研究代表者は、『市民オペラ』(集英社新書)を2022年秋に発表、戦後日本のオペラの系譜および日本における芸術文化支援も含め、日本特有のオペラ制作の形態である市民とオペラの接点をまとめた。劇場外に、舞台芸術制作に必要となる技術や人的資源が蓄積されたことが、各地で企図された市民オペラの成立につながった経緯を文化政策の側面から特に明らかにした。この成果を起点に、2023年度は多くのメディアからの書籍紹介、筆者への取材、そして連続シンポジウム「市民オペラの50年」開催など、芸術文化支援、舞台芸術、市民活動の我が国における変遷を明示していった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者は、過年度および当該年度に、本研究の主たる成果となる単著1冊および関連する単著1冊などを発表し、テレビ番組への出演や雑誌・新聞・インターネット等多数のメディアでの紹介やインタビューを通じて発信してきた。さらに公開連続シンポジウムを実施して、本研究による知見を活用してきた。また研究分担者も、本科研費を用いて調査した結果をこれまでに学会発表、査読論文発表で公開してきたほか、研究代表者とともに、関連領域の研究者を招いての公開ラウンドテーブルを実施した。なお、当初予定の日本の助成制度設計との比較検証を体系的に整理するための研究活動を引き続きおこなっており、成果や課題への取り組み状況はおおむね順調に進捗してきたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍への対応やその後の影響といった当初計画時になかった要素の検証も加えつつ、イングランドと日本との制度設計などの比較研究を今後進めていく必要がある。 そのため、国内各地の芸術団体へのヒアリングおよび活動調査も実施し、コロナ禍後の日本における助成制度の現状について把握する。また、ACEに関しても、評価制度の実態把握については、舞台芸術分野へのあらたな評価や助成方針が発表されたことなどを踏まえ、継続していく必要があるとの認識を研究者間で共有している。
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