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第二次世界大戦後の日本における科学研究活動と米国外交政策の関係についての歴史研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00267
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

栗原 岳史  東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 研究員 (50622544)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード国際関係と科学 / 日米科学協力 / 戦争と科学 / 大学と軍事研究 / 米軍資金問題 / 日本物理学会「決議三」 / 米軍の基礎研究 / 米軍の基礎研究政策 / 軍事研究と科学 / 米軍の研究開発の歴史 / 米軍による日本の研究活動への支援 / 米軍の研究開発活動の歴史 / 冷戦期の科学史 / 外交政策と科学
研究開始時の研究の概要

本研究は,1950年代初頭から1960年代にかけて,米国政府が日本の学術的な科学研究に対して行っていた研究資金の支援の実態について,公開された米公文書史料を利用した実証的な歴史研究として明らかにすることを目的とする.冷戦期において,米国が科学研究を振興するために日本を含む主要国に対して研究資金の支援を行ってきたことがことが明らかになっているが,本研究は,米政府諸機関,特に国務省と軍関係諸機関等が,日本の科学研究に対して,どのような目的で,どのくらいの規模で研究資金の支援を行っていたのか,それに対して日本側がどのような対応をしていたのかについて,その実態を明らかにするものである.

研究実績の概要

前年度に引き続いて,これまでに米国公文書館などから入手した文書や,インターネットを通じて入手した公開された文書史料の分析を行うとともに, 新型コロナウイルスの世界的な流行もようやく治まり本研究の本来の目的であった米国での文書調査が可能な状況となったので,2023年8-9月と2024年3月に米国国立公文書館と米国議会図書館を訪問して公文書史料などの調査と収集を実施することができた.これらを通じて,本年度の研究では,1950-60年代に行われた米軍を中心とした米政府機関から日本の大学への研究資金の提供とそれに関する歴史について,当時の米軍の研究開発計画における基礎研究に関する政策と,基礎研究を実施するための米軍と大学との共同研究に関する政策に関する公文書史料の調査と収集を中心に研究活動を行った.
前年度から引き続いて行った,これまでに入手していた文書の分析を通じて,1950-60年代に行われた米陸軍による日本の大学への研究支援に関して,米陸軍側は公には軍事と関係のない基礎研究に対する研究支援だとしていたが,公文書史料の分析から,米軍の基礎研究支援はあくまでも米軍の軍事力の向上のための研究の一環であったことを明らかにすることができた.これらの研究の成果を,2023年5月27日に早稲田大学で開催された科学史学会第70回年会で発表した.
学会発表後に実施した米国を訪問した調査では,特に1950年代に米国の陸,海,空軍それぞれの基礎研究政策に関してまとまった文書群や,科学者と協力して研究活動を行うために米空軍が戦後に設立した米空軍科学諮問委員会の議事録などを入手することができた.今後,これら収集した文書の分析を行うことで,米軍を中心とした米国政府による,日本を含む外国に対する研究活動の支援と外交政策に関する歴史研究を行う.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は,米国の公文書館など海外で文書史料の調査をすることが主たる研究活動であったが,新型コロナウイルスの世界的な流行の影響により海外出張が事実上できなくなったため,研究計画が大幅に遅れてしまっていた.そのため,前年度までは,日本国内から入手可能な文書の検索や調査や,これまでに収集した文書史料の分析を行ってきた.ここ数年の間,オンライン上で公開される公文書史料や,その他利用可能な過去の政府の報告書等の文献類が増加してきており,補足的な調査を追加で実施することができていたが,本来の目的であった研究活動を十分に実施できていなかった.本年度において,本来の研究活動であった米国での調査活動を実施することができ,2023年8-9月と2024年3月に米国国立公文書館と米国議会図書館を訪問して,研究の目的であった文書類の分析と収集を実施することができた.しかし,収集した文書史料の分析には少なくとも1年以上の時間が必要であり,まだ十分に分析ができていない.さらに,研究開始時に想定していたよりも航空運賃や現地滞在費が大幅に上昇し,想定よりもおよそ2倍の価格になっため,現地へ訪問する回数や現地での滞在期間を増やすこともできなくなったことも,研究の進捗が遅れてしまった理由である.

今後の研究の推進方策

新型コロナの世界的な流行のため,予定していた研究期間中に,研究に必要な十分な調査活動を実施することができなかったため,1年間の研究期間の延長を希望し,それが認められたので,この延長された1年間を使って,前年度の2023年8-9月と2024年3月に収集した文書史料の分析を中心にして,研究活動を実施する.延長期間にも米国を訪問して文書史料の調査と収集を行いたいが,航空運賃と滞在費の大幅な値上げのため実施することができくなったので,これまでにも実施していたインターネットを通じての文書史料の分析と収集を引き続き行い,研究活動を補完する.
特に,これまでの文献調査などを通じて,第二次世界大戦の終結後の米軍が,基礎研究の重要性を理解して,米軍が米国内と同盟国を含む海外の大学で行われる基礎研究に対して資金を提供したり,軍と科学者が協力して研究活動が行うようになったりしたことの歴史的経緯について,米軍の中でも米空軍の果たした役割が重要であると思われる.1960年代までに,日本を含む外国への研究支援活動も,米空軍は積極的に行っている.前年度の米国訪問で,空軍が科学者と協力して研究を進めるために戦後に設立した米空軍科学諮問委員会の議事録などの記録を入手することができた.同時に,1950年代の米国防省内の研究開発計画における基礎研究政策に関する文書群を入手できた.米国防省内においても,空軍だけでなく,陸軍と海軍でも実施されていた科学者と協力して研究活動を行うことについての議論がなされており,これら国防省内との議論の記録とも併せて分析することで,第二次世界大戦後の米軍を中心とした科学政策と,それらに関する米国の外交政策の関係について,具体的に明らかにしていきたい.

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022 2021 2019

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 冷戦期の日本の大学における基礎研究に対する米軍による資金援助の目的と実態―米軍の基礎研究政策を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      栗原岳史
    • 学会等名
      日本科学史学会 第70回年会 2023年5月27日 早稲田大学
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 冷戦期における日本の科学研究に対する支援活動に関する米政府内での議論―物理学などへの「米軍資金」の拡大 1965年2022

    • 著者名/発表者名
      栗原岳史
    • 学会等名
      日本科学史学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 「冷戦期の米軍における研究開発活動と日本への研究支援の関係について」2021

    • 著者名/発表者名
      栗原岳史
    • 学会等名
      日本科学史学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 冷戦期における米軍による日本への科学研究資金の支援について2019

    • 著者名/発表者名
      栗原岳史
    • 学会等名
      日本科学史学会年会(岐阜大学)
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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