研究課題/領域番号 |
19K00271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
市川 浩 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 名誉教授 (00212994)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 旧ソ連邦 / マルクス主義 / 技術論 / ハイム・ガルベル / 大テロル / 物質文化史 / 1930年代 |
研究開始時の研究の概要 |
ソ連・東欧における社会主義体制の崩壊によって、マルクス主義を壮大な社会実験ののちに“失敗した”社会思想と見る見方が深く広く浸透したが、一方で、マルクス主義を公正で客観的な視点から再度俎上に載せようとする知的運動も起こっている。マルクス主義科学論の歴史的役割も重要な研究課題となっているが、技術論の分野では、いまだにめぼしい成果に恵まれてはいない。その意味で、最新の資料調査、国際的な舞台における研究交流などを通じてこの研究課題に迫ろうとする本研究はソヴィエト・マルクス主義による技術論の社会思想としての形成過程を追う、最初の、包括的な研究となろう。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,ソ連科学アカデミー・科学史=技術史研究所(1932年設立,38年閉鎖),高等技術教育委員会「マルクス主義的技術史委員会」,国立物質文化史アカデミーなどを舞台に,1930年代のソ連でマルクス主義的技術論・技術史の方法論確立に力を尽くした研究者たちの研究活動を追跡し,その全体像を明らかにすることにある.現地において種々の文書館に保存されている資料を調査することを,本科研にもとづく研究のもっとも重要な研究方法と前提しているが,新型コロナ・ウィルス感染症対策のため,さらにR4年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻に伴う交通の攪乱と当時の勤務校の判断による渡航自粛措置のため,現地での資料調査ができず,わずかにロシア科学アカデミー文書館,ロシア科学アカデミー・物質文化史研究所図書館,同文書館のスキャニング・サービス,ロシア科学アカデミー・哲学研究所のセルゲイ・コルサコフ氏,自然科学史=技術史研究所のコンスタンチン・トミーリン氏の協力により,必要な研究資料の一部を居ながらにして入手することができた程度であった.ようやく,昨年9月にモスクワ,サンクトペテルブルクに出張し、ロシア科学アカデミー文書館,ロシア科学アカデミー・物質文化史研究所学術文書館で資料を閲覧することが出来た.その成果は,現在,広島大学出版会でその出版が計画されている新単著に反映される見込みである.『“技術論”の源流をたずねて-1930年代ソ連邦における“マルクス主義的技術史”の探究-』と仮題された新単著はすでに広島大学出版会による査読・審査に合格し,現在加筆・修正の途上にある.この「加筆・修正」のため,現地における補完的な資料調査を必要としている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ・ウィルス感染症対策のため,さらにR4年2月24日に勃発したロシアによるウクライナ侵攻に伴う交通の攪乱と当時の勤務校の判断による渡航自粛措置のため,長く現地での資料調査ができず,そのため,研究の進捗が長く阻まれていた.上記したような現地の文書館の資料スキャン・サービスと現地の友人たちの協力により,研究の遅れを埋め合わせることができたが,まだ仕上げ(確認)の資料調査を残している.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの残額約46万円を使い,この9月にも現地に行き,補完的な資料調査を実施し,現在準備中の新単著や新たな著作にその成果を反映させることで,本科研に基づく研究を完成させたい.
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