研究課題/領域番号 |
19K00274
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
松村 紀明 帝京平成大学, ヒューマンケア学部, 准教授 (00422379)
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研究分担者 |
町 泉寿郎 二松學舍大學, 文学部, 教授 (40301733)
木下 浩 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (50838092)
梶谷 真司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50365920)
鈴木 達彦 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (70737824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 在村医 / 地域医療 / 開業医 / 岡山県 / 医療史 / 平井家 / 種痘 / 吉岡家 / 難波家 |
研究開始時の研究の概要 |
岡山県瀬戸内市の中島家に加え同県下の医家の未調査の医療記録・医療書籍・器機類などに基づいて次の2点を明らかにする。 (1)地域医療の共時的解明 それらの医家の地域医療活動の記録を相互に突き合わせ、また、郷土史・医療制度史などの史料とも突き合わせることで、それらの医療活動の地域内での意義や特色を立体的に明らかにし、県下の地域医療の成立について共時的な実態を明らかにする。 (2)地域医療の通時的解明 これらの資料がカバーする年代は広範に及び、岡山県には藩政資料などの歴史資料が体系的に残され保存されている。これから、医家の地域医療活動とその意義・特徴の変遷を通時的に明らかにする。
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研究成果の概要 |
岡山県下のいくつかの在村医家所蔵の史料の調査を行った。瀬戸内市(旧長船町)平井家については、新たに発見された未調査の史料について撮影を完了しその画像を精査しながら新たな蔵書目録の完成にこぎつけ、典型的な在村医の蔵書・文書であることが判明した。そして同蔵書目録ならびに平井家やその医療活動についての論考を収録した「中島医家資料研究」第1巻第3号を2023年3月に刊行した。 岡山市(旧建部町)吉岡家については、調査結果を精査・整理中で2023年度中には蔵書目録ならびに論考を発表できる見込みである。 以上から明治初期、岡山県下の在村医たちが連携し大規模な種痘活動を行っていたことも明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
在村医家の所蔵資料調査により、近世から近代の地域社会において医療を支えた在村医たちの活動は多岐・広範に及ぶことが明らかになった。 例えば、難波経直が中心となった民間医たちによる 「救助種痘」「種痘勧善社」には、明治17年の解散まで200名を超える種痘医が継続的に参加し、岡山全県下で無料の種痘接種を実施した。それ以外にも地域内の在村医たちは研究会を開くなど相互に連携し自主的な活動していたことが明らかになった。 この時期の医師たちの活動は藩・県・政府の指示下での受動的なものではなく、かなり能動的なものであったことを示しており、近代医療システム構築過程に対する認識の再検討を迫るものであろう。
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