研究課題/領域番号 |
19K00275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
山口 富子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (80425595)
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研究分担者 |
鈴木 和歌奈 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (70768936)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ゲノム編集技術 / 言説戦略 / 信頼 / 信頼性 / ゲノム編集技術の社会学研究 / 不信の解消 / 先端科学技術の社会実装 / ユーザー / 信頼確保 / 産官学 / 埋め込み / ローカルな文脈 / 萌芽的科学技術 / 生命科学の社会学 / 社会受容 / 一般化された他者 / 反省的意味付け / バイオテクノロジー / 生命科学 / 信頼の危うさ / 反省的意味づけ / テクスト分析 / パフォーマティビティー |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は、科学技術への違和感、不安、不信を「信頼の危うさ」という概念で捉え、未来の不確実性により生じる先端科学技術への「信頼の危うさ」がどのように解消されようとしてきたのか、バイオの「農業と食」と「医療」への応用の過程に着目し検討する。この2つの領域は、人の生活や生命に深く関わるという点で共通点を持つが、応用は異なる回路で進められる。そのためその過程における信頼の作用が異なることが想定される。そこでこの二つの回路の比較を通してその特徴を明らかにし、信頼がどのように形成されてきたのかを明らかにする。これまでの「信頼研究」で検討されてきた「専門家システムへの信頼」に新たな論点を提起する。
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研究実績の概要 |
本課題の目的は、ゲノム編集技術の「農と食」と「医療」への応用の過程という二つの文脈において、一般の人びとが抱く先端科学技術への不安感や不信感を専門家がどのように解消しようとしているかを明らかにすることである。これまでの信頼研究は、「専門家システムへの信頼」という観点からの検討が行われることが多かったが、システムへの信頼不足が常態化する現状において、別の視点からの検討が必要であると考えた。そこで本課題では信頼感を醸成するための専門家の言説戦略に着目し、先端科学技術に対する信頼や信頼性を確保するための実践を検討した。 2023年度は、日本社会学会(スマート農業化プロセスに見られるシャドウ・ワーク)、国際科学技術社会論学会(Uncompensated Digital Labor in Agriculture and Food: Scientists Perspectives)で研究成果の報告を行った。国内外の学術コミュニティーの議論に参加することにより、信頼を確保するということがどのような要素から成り立っているのかについて、異なる視点や文化的背景からのアプローチについて洞察を得ることができ、信頼醸成メカニズムの俯瞰が可能となった。さらに、ゲノム編集技術の言説戦略をテーマとする特別号を国際ジャーナル(Agriculture and Humvan Values)で編集するための準備を行った。これにより、研究成果を広くアピールする機会を確保した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を国内外の学術コミュニティーに発信し、課題はおおむね順調に進展している。一般向けの小冊子を作成し、大学の教育活動や事業者向けのセミナーなどで活用している。また、自然科学系の研究者との対話を目的として、自然科学系の学術誌にゲノム編集技術の社会的諸側面を論じる論考を掲載することができた。国際的な学術活動にも積極的に関わり、国際学会で口頭報告をするだけでなく、定期的に開催されているより小規模な研究会への参加を通じて、ゲノム編集技術の国際的な議論に加わっている。このような活動を通じて、知見を共有する機会を得た。
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今後の研究の推進方策 |
後述の「次年度使用が生じた理由と使用計画」に記載した通り、次年度は、研究成果の最終的な取りまとめを行う。主に、特別号の査読や論文の改訂の依頼など国際出版プロジェクトの推進と管理に加え、自らの論考の改訂と出版を進める。
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