研究課題/領域番号 |
19K00276
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
坂井 建雄 順天堂大学, 保健医療学部, 特任教授 (90114488)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 解剖学 / 骨 / 骨格筋 / 神経 / 血管 / 解剖図 / 医学史 / 近代医学 / 解剖学史 / ガレノス / ヴェサリウス / 脳神経 / 関節 / 骨格 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヴェサリウス『ファブリカ』(1543)の本文と解剖図において伝統に由来する模倣的要素と自らの解剖に基づく独自的要素を区別することを目的とする。これまで解読が不十分であったガレノスの解剖学各論(骨、神経、血管、筋)で新たに解剖学的構造を詳細に同定するために、最新のギリシャ語原典校訂版を用い、申請者の解剖学の専門的知識を応用して解読・翻訳を行う。この研究により、古代以来の西洋伝統医学から19世紀以後の西洋近代医学までを連続的な一続きの歴史として捉えなおすことが可能になる。
|
研究成果の概要 |
ガレノスとヴェサリウスの解剖学の比較から、いくつかの重要な知見が得られた。①ヴェサリウスは『ファブリカ』第1書に頭蓋骨の形状と縫合の多様性を示す図を描いたが、これはガレノスの『骨について』の誤った記述を踏襲したものである。②『ファブリカ』第4書冒頭の脳神経の図では三叉神経に相当する枝が混乱して描かれているが、ガレノスの『神経の解剖について』記述を踏襲したものである。③ヴェサリウスは『ファブリカ』第2書では14枚の筋肉人の解剖図で全身の筋を示したが、筋の記述にあたってはガレノスの『筋の解剖について』を踏襲して関節ごとに作用する筋をまとめ、固有の名前を使わずに個々の筋を番号で呼んだ。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヴェサリウスの『ファブリカ』(1543)は、医師の君主とされるガレノスによる解剖所見を否定し、近代医学の出発点になったとされ、医学史上で最重要の解剖学書である。今回の研究により、『ファブリカ』の本文の解剖学的記述は、基本的にガレノスの解剖学を踏襲していること、解剖図についてもヴェサリウス自身の解剖・観察によって描かれているが、しばしばガレノスの記述に基づいていることが明らかになった。今回の知見は、伝統医学と近代医学を分けるものは何かという医学史における根本的な問題を解く鍵となる大きな意義を有している。
|