研究課題/領域番号 |
19K00280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 一 明治学院大学, 文学部, 教授 (70401239)
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研究分担者 |
三河内 彰子 明治学院大学, 文学部, 研究員 (20838453)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 原発PR施設 / 原子力関係展示施設 / アメリカの原子力 / 原子力と社会 / マンハッタン・プロジェクト / コミュニケーション / パブリック・リレーションズ / ナショナル・ヒストリー / パブリックリ・リレーションズ / エンタテインメント型展示 / テーマパーク化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の狙いは、米国における原発PR施設の展示の実態を調査し、日本のそれと比較検討して、そのコミュニケーションの特質を解明することにある。 原発PR施設とは、原子力施設に付帯する一般向け広報施設のことだが、従来ほぼ看過されてきた。長谷川は2012年より国内全施設を実査し、その展示空間がテーマパーク化し、多数のエンタテインメント型展示に溢れている実態を明らかにした。 その結果を踏まえ本研究では、米国の原発PR施設を実査し、日米の調査結果を比較する。原発PR施設という場を媒介に、原発と人々がいかに結合・切断されているかを把握し、全ての人に開かれた議論の場の構築へ向けた研究に取り組む。
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研究成果の概要 |
米国内のほぼ全ての原発PR施設と、軍事利用を扱う原子力関連展示施設の大半の現地調査を実施した。エンタテインメント型展示の溢れる原発PR施設は、日本では現在も多数存在している。だが今回の調査から、米国においては縮減傾向が顕著であり、展示も貧弱で、原子力関連展示施設の充実ぶりとは著しく対照的であることが明らかになった。さらに米国内の原発PR施設と原子力関係展示施設、および日米比較からは、日本では原子力という問題系において非軍事利用としての原発のみが語られる傾向にあることが炙りだされた。言説レベルにおいて原発と軍事利用との連続性を切断・隠蔽する装置として原発PR施設が作動している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
原発PR施設に注目した研究はこれまでほとんどなされてこなかった。そのなかで本研究の意義は三点に集約できる。第一に、米国の原発PR施設および軍事利用を主題とする原子力関連展示施設のほぼ全てを実踏し、実態を初めて詳らかにしたことである。第二に、調査結果とその比較分析作業をとおして、米国および日本それぞれにおける原子力・核をめぐる言説空間の特徴を明らかにしたことである。そして第三に、原発をめぐって推進・反対・無関心の三派が三すくみに陥った日本の原発をめぐるコミュニケーションの隘路にたいし、その膠着のメカニズムの一端を解明したことである。それは膠着を解きほぐしうる新たな視点の獲得につながるだろう。
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